阿蘇ジオパーク

阿蘇ジオパーク

阿蘇ジオパークは、熊本県阿蘇地方に位置し、阿蘇カルデラを中心とした地域が指定されています。このジオパークは、世界最大級のカルデラ地形と、現在も活動を続ける活火山を特徴としており、地球のダイナミックな活動を肌で感じることができます。2009年に日本ジオパークとして登録され、2014年にはユネスコ世界ジオパークにも認定されました。

テーマ

阿蘇ジオパークのテーマは「阿蘇火山の大地と人間生活」です。このテーマは、火山活動がもたらす自然の驚異と、その恵みを受けて生活する人々の歴史や文化が深く結びついていることを示しています。

ストーリー

1. 巨大噴火とその爪痕

阿蘇火山は、約27万年前から約9万年前の間に、4回の巨大噴火を起こし、現在の阿蘇カルデラを形成しました。中でも最大の噴火とされるAso-4噴火では、約600km³もの火砕物が放出され、その火砕流は遠く山口県の秋吉台まで到達しました。この噴火によって形成された広大な火砕流台地は、阿蘇の景観を特徴づける重要な要素となっています。

2. 地球の息吹を感じる中岳一帯

阿蘇カルデラの中央に位置する中岳は、現在も噴煙を上げる活火山です。活動が穏やかな時には、火口にエメラルドグリーンの火口湖を見ることができます。しかし、火山ガスが常に放出されているため、呼吸器系や心臓疾患を持つ人は火口周辺への立ち入りが制限されています。中岳周辺の荒涼とした景観は、過去の火山活動の激しさを物語っています。

3. 火山の恵みと人間生活の歴史

阿蘇カルデラ内には、鉄道や国道が走り、約5万人の人々が生活しています。阿蘇は多雨地域であり、山々に降った雨が湧水となって豊かな水源を形成しています。また、火山活動による温泉も豊富で、古くから観光地として栄えてきました。阿蘇神社は火山の神を祀っており、その歴史は阿蘇火山と深く関わっています。また、阿蘇の草原は、千年以上前から野焼きによって維持されてきた、人々の生活と密接に結びついた景観です。

ジオサイト

阿蘇ジオパークは、33のジオサイトで構成されており、それぞれの場所で異なる地形や地質、自然現象を観察することができます。

拠点施設

阿蘇ジオパークには、以下の拠点施設があります。

阿蘇火山博物館（阿蘇市）
ASO田園空間博物館（阿蘇市）
南阿蘇ビジターセンター（高森町）
ゆうステーション（小国町）

これらの施設では、阿蘇の成り立ちや自然、歴史に関する展示や解説が行われています。

景観破壊

2017年には、阿蘇ジオパーク内の立野峡谷ジオサイトにおいて、阿蘇大橋の架け替え工事のために、河岸の柱状節理が地元への無断で削られるという問題が発生しました。この問題は、開発行為と自然保護の両立の難しさを浮き彫りにしました。

阿蘇ジオパークは、火山が生み出した雄大な自然と、そこで育まれてきた人々の暮らしを学ぶことができる場所です。訪れる際には、自然への敬意を忘れずに、その魅力を存分に味わってください。

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