阿蘇惟光

阿蘇惟光(あそ これみつ)



阿蘇惟光は、安土桃山時代肥後国(現在の熊本県)の大名であり、阿蘇神社宮司を務めた人物です。天正10年(1582年)に阿蘇惟種の嫡男として生まれ、わずか2歳で家督を継ぎました。しかし、その短い生涯は戦乱に翻弄され、数奇な運命をたどります。

生涯


幼くして当主となった惟光は、その直後から困難に直面します。天正12年(1584年)、父・惟種の死によって2歳で当主となりました。その後、薩摩国島津氏肥後国へ侵攻を開始。天正13年(1585年)には、花山城や堅志田城、木山城が次々と陥落し、阿蘇家は島津氏に降伏を余儀なくされます。

島津氏との和睦交渉も決裂し、阿蘇家は窮地に立たされます。同年、惟光は母親と共に目丸山へと逃れました(目丸落ち)。その後、豊臣秀吉による九州平定が始まると、惟光は秀吉に保護を求め、佐々成政に預けられることになります。

天正15年(1587年)、秀吉は惟光に肥後国矢部三百町を与えますが、同年に肥後国人一揆が勃発。秀吉は惟光の処刑を求めましたが、当時熊本城内にいた惟光は一揆に関与していないことが明白となり、不問となりました。しかし、一揆の責任を問われた佐々成政が処刑され、惟光は加藤清正に預けられることになります。当時、惟光はわずか6歳でした。

文禄元年(1593年)に梅北一揆が起こると、惟光は島津歳久梅北国兼らとの結託を疑われ、秀吉によって切腹を命じられます。同年8月18日、花岡山にて12歳という若さで自害しました。この処刑は、加藤清正が朝鮮出兵で留守にしていた隙を突いたものでした。

惟光の死後、弟である阿蘇惟善が加藤清正に召し出され、大宮司職に復帰しました。

人物


幼くして当主となり、激動の時代を生きた惟光は、その短い生涯の中で、戦乱や権力闘争に翻弄されました。わずか12歳で命を落としましたが、その存在は後世に語り継がれています。

脚注


出典
熊本日日新聞編纂・発行『熊本県大百科事典』、1982年、18頁
阿蘇惟之編『阿蘇神社学生社、2007年
関連項目
* 花の慶次 - 作品内に登場するキャラクター・水沢隆広のモデルとなった

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