梅北国兼

梅北国兼：島津家臣、その生涯と梅北一揆

梅北国兼（うめきた くにかね）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将であり、島津氏の家臣として活躍しました。彼は文禄元年（1593年）に発生した梅北一揆の首謀者としてその名を知られています。また、盛定という諱も持っていました。

生涯

梅北氏は、もともと肝付氏の一族であり、大隅国の国人でした。戦国時代に入り、島津氏に従属するようになったとされています。国兼は梅北兼弘の子として生まれ、天文23年（1554年）の岩剣城の戦いを皮切りに、弘治3年（1557年）の蒲生城陥落まで、島津氏と薩摩蒲生氏の間で繰り広げられた戦いで目覚ましい功績を挙げました。その功績が認められ、大隅帖佐郷山田（現在の鹿児島県姶良市）の地頭に任じられました。

山田の地頭となった国兼は、北山地区に山城を築き、そこを拠点としました。その後も、天正6年（1578年）と天正14年（1586年）には、大友氏との合戦で武功を挙げ、天正8年（1580年）には薩摩国湯之尾（現在の鹿児島県伊佐市）の地頭（湯之尾城主）となり、島津軍の水軍を指揮するまでになりました。

しかし、文禄元年（1593年）、国兼は梅北一揆を起こします。一揆勢は、文禄の役で朝鮮半島に出兵していた加藤清正が治める肥後国佐敷城を占拠し、八代の麦島城を攻撃しました。この一揆の動機は、朝鮮出兵に対する反発や、豊臣秀吉の支配に対する不満があったとされています。

国兼は清正の部下の策略によって殺害され、反乱はわずか3日で鎮圧されたと伝えられています。ただし、近年では佐敷城の占拠期間は15日間にも及んだとする説も出ています。国兼の首は、朝鮮出兵の前線基地であった名護屋城に送られ、浜辺に晒されました。胴体は佐敷五本松に埋められたとされています。また、国兼の妻も捕らえられ、名護屋城に連行された後、火あぶりの刑に処されました。

国兼の死後、旧領である大隅国山田では、彼を神として祀るようになりました。現在も鹿児島県姶良市北山には、国兼を祀る梅北神社が残っており、境内には西郷従徳が揮毫した石碑が建てられています。

備考

国兼の妻は、死を前にしても動揺しなかったため、宣教師ルイス・フロイスは彼女を「異教徒ながら天晴れ」と褒め称えたと『フロイス日本史』に記されています。

国兼が殺害された後、生き残った7人の兵士が山田にいる国兼の妻に急いで事態を伝え、後に北山と木津志の間にある七ツ島と呼ばれる場所で切腹したという伝説が残っています。しかし、国兼が亡くなった時には湯之尾の地頭であったことから、この伝説を疑問視する説もあります。

梅北一族はその後隠れ住み、豊臣秀吉の死後に島津家に再び仕えるようになったとされています。

参考文献

• - 姶良町郷土誌改定編さん委員会 編『姶良町郷土誌』（平成7年10月増補改訂版）姶良町長 櫟山和實、1995年10月、pp.170 - 175

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