阿部勉 (民族主義者)

阿部 勉の生涯と活動

阿部勉（あべ つとむ、1946年8月30日 - 1999年10月11日）は、日本における著名な政治活動家であり、民族主義者としても知られています。彼の人生は、特に1960年代から1970年代にかけての学園運動や右翼の政治運動に密接に関連しています。元々秋田県仙北市に生まれた阿部は、10歳のときに両親が離婚し、父親と別れて育ちました。彼は早稲田大学法学部に入学した1965年に、早大紛争が激化する中で活発な活動を開始しました。

阿部は、早大紛争の最中にキャリアをスタートし、1966年に結成された「早稲田大学学生有志会議」に参加しました。この動きは、「早稲田大学学生連盟」へと発展します。その後、日本の保守・民族派系の学生組織「日本学生同盟」に参加し、活動が広がっていく中で、三島由紀夫に出会うことになります。彼は自衛隊の体験入隊に参加し、三島の思想に深く影響を受けることとなりました。

1970年、三島事件（三島由紀夫の自決）を境に、阿部は楯の会を離れ、新たなグループ「一水会」を結成します。この組織は月に一度の集会を開催し、阿部自身も雑誌『土やま心』の編集長として活動を行いました。また、彼は一水会の機関誌において、ポルノ俳優が右翼活動を模倣することに関する声明を発表するなど、過激な発言でも知られていました。彼の運動は多角的で、時には論争を引き起こすこともありました。

1980年代には結婚生活が終わりを迎えた後、千鶴子という女性と6年間同棲し、その後も様々な活動を続けました。特に1992年には「風の会」の活動を手伝い、参院選への立候補を考えられたものの、それを辞退し裏方として地域政治に関与しました。この頃から、彼の影響力は徐々に広がる一方で、個人としての苦悩も抱えていました。

1995年には維新政党・新風が設立され、初代本部党紀委員長を務めました。1996年には、古書店「閑人舎」を開設し、自身の文化活動を展開する一方で、インターネット上で右翼活動を行う団体「鐵扇會」の後見人としても活動しました。彼の死に至るまで、阿部は一貫して自身の思想を貫き、政治活動に従事し続けました。

1999年10月11日、阿部勉は膵臓癌により慶應義塾大学病院で亡くなります。彼の人生は、理念を持った一人の政治活動家としての道のりであり、右翼運動における重要な人物の一人として記憶されています。その思想や行動は、今でも多くの人々に影響を与え続けています。彼の遺した言葉や活動は日本の右翼運動のみならず、広範な文脈の中で理解されるべき重要なテーマであると言えるでしょう。

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