阿部博之 (工学者)

阿部博之（あべ ひろゆき）

プロフィール

阿部博之氏は、1936年10月9日生まれの日本の工学者で、東北大学の名誉教授です。専門は機械工学の中でも、特に材料力学と固体力学に精通しています。その研究業績は学術界のみならず、産業界にも大きな影響を与えており、日本の科学技術の発展に大きく貢献しました。

学歴・職歴

1955年に宮城県仙台第二高等学校を卒業後、1959年に東北大学工学部機械工学科を卒業し、日本電気株式会社に入社しました。その後、1967年に東北大学大学院工学研究科機械工学専攻の博士課程を修了し、「薄肉および厚肉殻の弾性変形に関する理論的研究」で工学博士の学位を取得しました。同年、東北大学工学部の講師となり、1968年には同大学の助教授に昇進しました。1975年には、ノースウェスタン大学の客員研究員として海外での研究活動も経験し、1977年に東北大学工学部の教授に就任しました。

1993年には東北大学工学部長・大学院工学研究科長に就任し、教育・研究の両面でリーダーシップを発揮しました。1996年には東北大学総長に就任し、大学運営の重責を担いました。また、同年には日本機械学会会長にも就任し、学会の発展にも尽力しました。

1998年には文部省学術審議会委員、2001年には経済産業省産業構造審議会委員、文部科学省科学技術・学術審議会会長、特許庁産業競争力と知的財産を考える研究会委員長など、政府の要職も歴任しました。2002年には東北大学名誉教授となり、知的財産戦略会議座長、全米技術アカデミー外国人会員に選出されました。2003年には総合科学技術会議議員、内閣官房知的財産戦略本部員を務めるなど、幅広い分野で活躍しました。2007年には科学技術振興機構顧問、2014年には東北大学機械系同窓会会長、2016年には日本工学アカデミー会長、2020年には日本工学アカデミー名誉会長に就任するなど、引退後も精力的に活動を続けています。

受賞・栄典

阿部博之氏は、その長年の功績が認められ、数々の賞を受賞しています。2000年には紫綬褒章、2012年には瑞宝大綬章を受章しました。また、日本機械学会をはじめとする専門学会から多数の論文賞を受賞しており、その学術的な貢献は高く評価されています。

著書

阿部博之氏は、研究活動の傍ら、後進の育成にも力を入れており、多くの著書を執筆しています。

『機械工学のためのコンピュータの応用』（共著）森北出版 1975年
『材料力学 : コンピュータ時代の要請に応える』（玉手統と共著）森北出版 1978年
* 『弾性学』（関根英樹と共著）コロナ社 1983年

これらの著書は、多くの学生や研究者にとって、貴重な参考資料となっています。

まとめ

阿部博之氏は、日本の機械工学界を牽引してきた第一人者であり、教育者としても多くの人材を育成しました。その幅広い活動と功績は、日本の科学技術の発展に大きく貢献しています。現在もなお、その影響力は大きく、工学分野における偉大な功績者として、その名が広く知られています。

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