除地

除地：年貢免除の土地の歴史と現代

除地とは、年貢の支払いが免除されていた土地のことです。近世と現代でその対象や扱いは異なりますが、どちらも税制上の特例措置を受けた土地という共通点があります。

近世の除地

江戸時代、幕府や大名から年貢免除の恩恵を受けた土地の中で、朱印地や黒印地以外のものを除地と呼びました。具体的には、寺社領や、古くから年貢が免除されていた田畑、屋敷などが該当します。これらの土地は、特別な歴史的背景や宗教的な理由により、従来の検地（土地の面積や収穫量を調査すること）の対象外とされてきました。

しかし、時代の経過とともに、検地がより厳密に行われるようになると、除地も検地帳に記録されるようになりました。記録上は「除地」として扱われましたが、年貢免除の特権は維持されました。除地は農村部だけでなく、都市部（町方）にも存在し、例えば尾張藩では、御用達商人の中でも上位の身分である「除衆」は、自宅敷地に関する諸役を免除されていました。このことは、除地の免税特権が、経済活動にも影響を与えていたことを示しています。

現代の除地

1991年（平成3年）まで、国有林の土地区分として「除地」という用語が用いられていました。これは、林地以外の土地を指し、苗畑、林道、貸地、雑地などが含まれていました。これらの土地は、国有林の管理運営に付帯する土地であり、直接的な木材生産には関与しないものの、林業活動に必要不可欠な役割を果たしていました。

しかし、国有林経営規程の改正に伴い、この「除地」という分類は整理され、現在の国有林管理においては、この用語は使用されなくなりました。

除地と関連する用語

除地を理解するためには、関連する用語を知ることも重要です。

朱印地・黒印地: 幕府や大名から直接的に年貢免除の許可を得た土地。除地とは異なり、より明確な免除の根拠を持っていました。
寺社領: 寺院や神社が所有する土地で、多くの場合、年貢免除の対象となっていました。除地の多くは寺社領に含まれます。
* 所領・領地・知行: これらは、土地の所有や支配に関する概念で、除地はその中で年貢免除という特権を受けた土地という位置づけになります。

まとめ

除地は、近世から現代にかけて、年貢免除という特権を有する土地を指す用語として用いられてきました。その対象や扱いは時代とともに変化しましたが、歴史的背景や土地利用の実態を理解する上で重要な概念です。特に、近世の除地は、当時の社会経済構造を理解する上で重要な手がかりとなります。現代においては、国有林管理の用語としては使われなくなりましたが、歴史的な背景を踏まえることで、現代の土地制度への理解を深める上で役立ちます。

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