陰流

陰流（かげりゅう）

陰流は、室町時代に愛洲久忠（愛洲移香斎）によって創設された武術流派であり、兵法の主要な源流の一つとされています。この流派は文明15年（1438年）頃に生まれ、「陰之流」や「影流」、「猿飛陰流」などとも呼ばれています。流派の名称については、特に「陰」と「影」の表記が混用されており、これは伝承や文献によって異なる場合があります。

流派の歴史

愛洲久忠は、武術において優れた才能を持ち、様々な技術を習得した後、独自の流派を形成しました。また、彼の息子である愛洲元香斎小七郎が影流を発展させ、猿飛陰流として知られる新たな流派を生み出しました。上泉信綱が陰流を基に新陰流を開いたことでも知られています。これは、陰流が後の武道に大きな影響を与えたことを示しています。

尾張柳生家の柳生厳長は、新陰流において上泉が久忠から技術を受け継いだと記載していますが、一部の見解では、久忠の子である愛洲宗通（愛洲小七郎）からの伝授であるともされています。元禄元年（1688年）には松下見林が「異称日本伝」において「影流之目録」を紹介し、その中には「猿飛」、「猿回」、「山陰」といった太刀名が見受けられました。興味深いことに、新陰流の初学者が学ぶ「燕飛」とされる技は、陰流の「猿飛」とされているとされています。

江戸時代以降の伝承

陰流は江戸時代以降、伝承が乏しくなり、文献においても元禄年間の松下見林の著作「異称日本伝」や天保年間に刊行された「撃剣叢談」で言及されています。特に「武芸原始　影流」として言及されたことは、流派の重要性を再確認させるものでした。また、東京国立博物館には愛洲陰之流に関する古文書が保存されています。

愛洲久忠の生涯

愛洲久忠は、享徳元年（1452年）に伊勢国で生まれ、日向守を名乗りました。彼は刀法に秀で、自らの修行を続けながら35歳の際に日向国鵜戸大権現の岩屋にて霊験を得て、極意を授かるとされています。彼は天文7年（1538年）に87歳で亡くなり、その子孫は現在に至るまで続いています。

武備志に見る影流

元禄年間、松下見林は「武備志」の中で影流目録を紹介しました。この中では、戚継光が1561年の辛酉の陣において得た「影流之目録」が記載されています。こうした文献は、陰流が伝承される過程で重要な役割を果たしました。

陰之流 私について

「陰之流 私」は、平澤家に伝わる巻物に記載されており、兵法の本質や稽古の方法が示されています。特に初手に五ヶの稽古があり、立ち方や視線の使い方、タイミングを見極める重要性が述べられています。

結論

陰流は、日本の武道の歴史の中で重要な役割を果たしており、その技術は多くの後世の流派や武士に影響を与えました。現在でも、その伝承や研究が続けられており、武道愛好者にとって魅力的な流派となっています。陰流の深い歴史と技術は、武道文化の一翼を担うものであり、その価値は今後も引き継がれていくことでしょう。

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