陳列

陳列とは

陳列とは、店舗の売場や博物館などで、商品や展示品を顧客や来館者に見せるために並べることです。単に商品を並べるだけでなく、計画性や戦略性を持たせ、商品の魅力を最大限に引き出すことを目的としています。装飾を施した陳列方法はディスプレイと呼ばれることもあります。

陳列の種類

陳列には、大きく分けて「補充型陳列」と「展示型陳列」があります。

補充型陳列

主にスーパーマーケットなどのセルフサービス形式の店舗で用いられる陳列方法です。

前進立体陳列: ゴンドラと呼ばれる陳列棚を使用し、商品を立体的に並べる方法。
フック陳列: フック付きの包装の商品を吊り下げて陳列する方法。
投げ込み陳列（ジャンブル陳列）: ばら売りの商品をかごなどに無造作に入れる方法。
カットケース陳列: 商品を輸送した段ボール箱をそのまま陳列什器として利用する方法。

ゴンドラを用いた陳列では、特に重要な場所として「ゴールデンライン」と呼ばれる、床上85〜125cmの高さの範囲があります。ここは顧客の目につきやすく、手に取りやすい位置であり、粗利益率の高い商品や店舗が重点的に販売したい商品が配置されます。

同種の商品は、原則として上下方向に並べる「縦割り陳列」が採用されます。左右方向には、陳列棚までの距離70cm、顧客の視野60°を考慮し、約90cmの幅に同一グループの商品を配置すると、顧客にとって選びやすくなります。また、陳列棚に左右方向に並べられた同一商品の数を「フェイス数」と呼びます。例えば、同一商品を3列並べた場合は「3フェイス」と数えます。この棚割の配分技術は「フェイシング」と呼ばれ、商品のCMの延べ視聴率（GRP）などを参考に決定されます。ゴンドラの端は「ゴンドラエンド」と呼ばれ、季節商品や重点販売品目がPOP広告などの装飾と共に配置されます。

展示型陳列

主に百貨店などの対面販売を行う店舗で用いられる陳列方法です。「ムードアップ陳列」「シンボライズ陳列」「ドラマチック陳列」など、様々な趣向を凝らした演出で顧客の購買意欲を喚起します。高額商品にはショーケースが、衣料品にはショーウィンドウやマネキン人形が用いられます。化粧品などでは、サンプル品を実際に試せる「サンプル陳列」が行われることもあります。

書店での陳列

書店では、購入者の8割が非計画購入と言われており、来店客を立ち読みから購入に繋げるための工夫が凝らされています。書店での陳列には、「見やすさ」「豊富感」「効率性」の3つの要素が重要です。顧客が目的の本を速やかに見つけられるようにし、衝動買いを促す品揃えと量、そして関連購買を促す効率的な配置が求められます。

書店での主な陳列方法には、以下のものがあります。

背ざし: 本棚に書籍を並べる方法。見えるのは背表紙のみで、多品目を少量ずつ陳列するのに適しています。
平積み: 書籍の表紙を上にして積み重ねる方法。新刊やベストセラーを中心に、ボリューム感を演出します。
複数陳列: 一つの書籍を複数の売り場で販売する方法。関連するジャンルのコーナーに展開することで、顧客の目に触れる機会を増やします。
多面陳列: 一つの商品を複数面を見せて展示する方法。訴求力を高め、仕掛け販売などに用いられます。

書籍は、新刊時は平積みで展開し、徐々に背ざしに移動し、返本によって部数を減らしていきます。雑誌は、表紙が見える専用の棚に陳列するか、平積みされます。ムックは背ざしで陳列されることもあります。

博物館などにおける陳列

博物館では、展示品を歴史的、文化的、科学的な文脈で理解できるように、ストーリー性やテーマ性を持たせた陳列が重要です。展示品の保護、来館者の動線、照明、解説文などが考慮され、より効果的な展示が目指されます。

まとめ

陳列は、商品の魅力を最大限に引き出し、顧客の購買意欲を高めるための重要な販売戦略です。様々な陳列方法を理解し、効果的に活用することで、店舗の売上向上に繋げることができます。

参考資料

永島幸夫『こんなにカンタン！陳列の本』フォレスト出版、2003年
新山勝利『売れる商品陳列マニュアル』日本能率協会マネジメントセンター、2010年
販売士検定2級ハンドブック(3)ストアオペレーション編 2007年 カリアック

関連項目

圧縮陳列
展覧会、展示会

外部リンク

店舗什器通販コトブキ

もう一度検索