陶山神社 (有田町)

陶山神社：有田焼の歴史と信仰が息づく場所

佐賀県西松浦郡有田町に位置する陶山神社は、有田焼の陶祖を祀る神社として、地元の人々や陶芸家から深く信仰されています。この神社は、一般的な神社とは異なり、鳥居や狛犬、門柱、絵馬、お守りといった多くのものが磁器でできており、有田焼の産地ならではの独特な景観を作り出しています。地元では「とうざんじんじゃ」とも呼ばれています。

歴史と由来

陶山神社の創建は、江戸時代に有田を治めていた鍋島藩の皿山代官の指示によって行われたと伝えられています。万治元年（1658年）に、神之原八幡宮から分霊を勧請し、「有田皿山宗廟八幡宮」として創祀されました。これは、皿山代官が管轄する全ての神社の中で筆頭と位置づけられたことを意味します。明治時代初頭に現在の「陶山神社」に改称され、明治5年（1872年）には村社に列せられました。また、大正6年（1917年）には、有田焼創成300年を記念して、有田焼の祖とされる李参平を顕彰する記念碑が神社後方の山頂に建立されました。

祭神

主祭神は応神天皇（八幡神）で、他に鍋島直茂と李参平が祀られています。有田焼の陶工たちは、陶祖として李参平を敬い、この神社を崇敬してきました。

祭祀

毎年10月16日と17日には、椎谷神社の秋祭りと合わせて「有田くんち」と呼ばれる祭典が開催されます。この祭りは、地域の人々にとって重要な行事であり、多くの人々が訪れます。

文化財

陶山神社には、いくつかの貴重な文化財があります。

磁器製の鳥居: 明治21年（1888年）に竣工した磁器製の鳥居は、平成12年（2000年）に国の登録有形文化財に登録されました。この鳥居は、有田焼の技術の粋を集めたものであり、非常に美しい出来栄えです。
青銅製燈籠: 明治17年（1884年）に奉納された青銅製の燈籠は、高さ2メートルあります。これは祭礼の神事当番町を執り行った記念として、大樽町から陶山神社に奉納されたものです。台座には「佐賀郡長瀬町 鋳師 谷口清八」と刻まれています。有田町の重要文化財に指定されています。
青銅製狛犬: 陶山神社には、青銅製の狛犬も安置されており、こちらも有田町の重要文化財です。これらの狛犬は、神社の守護として、また有田焼の歴史を象徴する存在として大切にされています。

その他の特徴

陶山神社を訪れる際に特徴的なのは、神社の境内へ続く石段を上りきると、目の前にJR佐世保線の線路が横切っていることです。このため、参道には踏切が設置されています。この珍しい光景を写真に収めようと、多くの鉄道ファンも訪れます。踏切には警報機が備えられていますが、遮断機はないため、通行する際には注意が必要です。このユニークな立地は、テレビ番組『ナニコレ珍百景』でも「スリル満点の神社」として紹介されました。

また、線路を挟んだ反対側の内山地区は、有田内山として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。この地区には、古い町並みが残っており、有田焼の歴史を感じることができます。

アクセス

陶山神社へは、JR佐世保線上有田駅から徒歩約10分程度でアクセスできます。有田焼の歴史と文化に触れることができるこの神社は、観光客だけでなく、地元の人々にも愛されています。

参考資料

砂田光紀『九州遺産 近現代遺産編101』弦書房、2005年

外部リンク

有田焼陶祖神・陶山神社（神社公式）
陶山神社鳥居 - 文化遺産オンライン（文化庁）
* ナニコレ珍百景（深夜放送時代のバックナンバー）

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