陶鋳

陶鋳（とう ちゅう）

陶鋳（タオ・ヂュー、1908年1月16日 - 1969年11月30日）は、中華人民共和国の政治家、軍人です。号は剣寒（けんかん）。政治宣伝の分野で活躍後、広東省を中心に地方の要職を歴任し、中央政府でも重要な地位を占めましたが、文化大革命の嵐の中で失脚しました。

生涯

湖南省祁陽県に生まれた陶鋳は、辛亥革命に参加した父を早くに亡くしました。1926年に黄埔軍官学校に入学し、中国共産党に入党。南昌起義や広州起義に参加するなど、革命運動に身を投じました。

初期の活動

1929年、福建省に移り、党の要職を歴任。閩南工農紅軍遊撃隊を創設するなど、軍事面でも才能を発揮しました。しかし、1933年に逮捕され、無期懲役の判決を受けます。

戦争と建国

1937年、第二次国共合作の成立により釈放。その後は、党の宣伝部長や軍事委員会の秘書長などを務め、政治宣伝の分野で才能を発揮しました。国共内戦では、東北野戦軍の政治部副主任として、共産党の勝利に貢献しました。

建国後の活躍

中華人民共和国建国後は、広西省党委員会書記代理、広東省省長、広東省党委第一書記などを歴任。広東省の発展に尽力しました。1965年には国務院副総理に就任し、中央政府でも重要な役割を担いました。

文化大革命での失脚

1966年、文化大革命が始まると、陶鋳は党中央宣伝部長に任命され、当初は文革を推進する立場にいました。しかし、次第に文革の過激な動きに疑問を抱き、毛沢東の意向に沿わない行動を取るようになります。その結果、江青らの批判を受け、1967年に失脚しました。

失意の死

失脚後、安徽省合肥市に移送された陶鋳は、1969年に胆道癌で亡くなりました。しかし、1978年、第11期3中全会において名誉回復がなされ、その功績が再評価されました。

人物像

陶鋳は、革命家として、また政治家として、中国の現代史に大きな足跡を残しました。その生涯は、激動の時代を生き抜いた人々の苦悩と希望を象徴していると言えるでしょう。

妻の曽志（そうし）との間に娘の陶斯亮（とうすりょう）がいます。

参考文献

産経新聞「毛沢東秘録」取材班『毛沢東秘録』上・下（産経新聞社 1999）
高文謙『晩年周恩来』美国明镜出版社 2003
* 『周恩来秘録』上・下（上村幸治 訳 文藝春秋 2007）ISBN 978-4-16-368750-6、978-4-16-368760-5

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