陸夢龍

陸夢龍（りく ぼうりょう）

陸夢龍は、明代末期の官僚であり軍人です。字は君啓、号は景鄴といい、紹興府会稽県を本貫とします。1575年に生まれ、1634年に波乱の生涯を終えました。

官僚としてのキャリア

1610年、陸夢龍は進士に及第し、官僚としての道を歩み始めます。刑部主事に任じられ、その手腕が認められて員外郎へと昇進しました。1615年、皇太子朱常洛の暗殺未遂事件（梃撃の案）が発生すると、その真相究明に尽力します。

この事件では、実行犯の張差の供述から、背後に鄭貴妃の内侍である龐保と劉成がいることが明らかになります。陸夢龍は、事件の真相を暴くために、提牢主事の王之寀や大理寺丞の王士昌らと共に、事件の徹底的な調査を求めました。しかし、朝廷内には事件をうやむやにしようとする動きもあり、その中で陸夢龍は、真実を明らかにするために奔走しました。彼は張問達の協力を得て、刑部の尋問を通して張差の供述の真実性を主張しました。しかし、この事件の調査によって、陸夢龍は鄭氏の逆鱗に触れ、刑部郎中から湖広按察使副使に左遷されることになります。

軍人としての活躍

1624年、貴州で反乱が発生すると、陸夢龍は軍事の才能を買われ、貴州右参政として監軍に任命されます。彼は総兵の黄鉞と共に反乱軍の討伐にあたり、安邦彦が普定に侵攻した際には、霧の中を行軍し奇襲を仕掛け、反乱軍を破るという戦果を上げました。その後も、三山の苗族が反乱を起こした際には、夜間に中軍を派遣して反乱軍の根拠地を焼き討ちにするなど、その軍事的な手腕を遺憾なく発揮しました。その後、湖広監軍、広東按察使を歴任し、各地で反乱鎮圧に尽力します。しかし、上官が魏忠賢の祠を建て、その名が列せられた際は、使者を派遣してこれを削り取らせるなど、不正を許さない姿勢を貫きました。

最期

1628年、閹党の影響により官階を二級引き下げられるものの、1630年には湖広副使として復帰します。曹州と濮州の間で反乱が起こると、その首領を討ち取り、残党を降伏させるなど、再びその手腕を発揮します。その後、右参政として固原を守備することになります。1634年夏、反乱軍が固原に侵攻してくるとこれを撃退しますが、閏8月、隆徳が陥落し、静寧州が包囲されると、賀奇勲や石崇徳と共に防戦に当たります。しかし、数倍に膨れ上がった反乱軍に包囲され、多勢に無勢の中、力及ばず戦死しました。享年60歳。その功績を称え、太僕寺卿の位が追贈されました。

著書

陸夢龍は、文人としても優れており、『易略』3巻と『梃撃始末』1巻を著しました。

子女

陸夢龍には、陸吉徴と陸能徴の二人の息子がいました。

陸夢龍は、官僚としては不正を許さず、軍人としては優れた指揮能力を発揮し、文人としても才能を発揮した人物でした。その生涯は波乱に満ちていましたが、明朝のために尽力したその功績は、歴史に刻まれています。

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