陸奥総社宮

陸奥総社宮：悠久の歴史を刻む宮城の神社

宮城県多賀城市市川に鎮座する陸奥総社宮は、古くから陸奥国（現在の東北地方）の総社として崇敬を集めてきた神社です。かつては村社に分類されていましたが、その歴史と神霊の多さから、地域の信仰の中心として重要な役割を担ってきました。

祀られる神々

主祭神として八塩道老翁神と八塩道老女神の二柱が祀られています。さらに、陸奥国内31郡に鎮座する式内社100社の神霊も合わせて祀っており、その神域には、この地域の歴史と信仰が凝縮されていると言えるでしょう。

歴史の軌跡：古代から現代へ

古代、国司は各国内の神社を巡拝する役割を担っていました。その効率化のため、各国の国府近くに国内の神々を合祀した総社が設けられるようになり、陸奥総社宮もその流れを汲む神社の一つと推測されています。しかし、平安時代の記録は現存しておらず、詳細な創建時期は明らかではありません。

江戸時代には、伊達政宗による領内寺社整備の中で、法蓮寺（鹽竈神社別当）末寺の市川山神奏院が別当として置かれ、社務が執り行われました。歴代藩主からの崇敬も篤く、特別な参拝なども行われていたようです。

明治維新後、近代社格制度において村社に列せられました。その後も、幾度かの合祀や神饌幣帛料供進神社への指定など、歴史に刻まれた出来事を通して、現在に至るまで地域の人々の信仰を集め続けています。安産、海上安全、五穀豊穣、武運長久、厄除けなど、幅広いご利益があるとされています。

静寂に包まれた境内

社殿は、本殿と拝殿から成る伝統的な造りです。境内には、多賀城市の保存樹木に指定されている推定樹齢約220年の白木蓮と、推定樹齢約600年の老杉がそびえ立ち、神社の歴史の深さを物語っています。特に老杉は神木として大切にされており、正月にしめ縄がかけられます。これらの樹木は、長い年月をかけて神社を見守り続けてきた、静かな証人と言えるでしょう。

季節の移ろいと共に営まれる祭事

陸奥総社宮では、年間を通して様々な祭事が執り行われています。初詣、どんと祭、節分祭、例大祭（神輿渡御）、七五三祭など、それぞれの季節に合わせた神事が、地域の人々の生活に寄り添いながら行われています。

アクセス情報

陸奥総社宮へのアクセスは、JR東日本東北本線国府多賀城駅から徒歩約30分です。静かな住宅街の中に位置し、都会の喧騒を離れた落ち着いた雰囲気の中で、神聖な空気を味わうことができます。

参考文献

多賀城市史編纂委員会 編 『多賀城市史』第1巻（原始・古代・中世）、多賀城市、1997年
宮城県神社庁 編　『宮城県神社名鑑』　宮城県神社庁　1976年10月
「市川村」『日本歴史地名大系 4 宮城県の地名』平凡社、1987年
中世諸国一宮制研究会編 編『中世諸国一宮制の基礎的研究』岩田書院、2000年

関連情報

陸奥総社宮 - 公式サイト
宮城県神社庁ウェブサイトへのリンク'>陸奥総社宮 - 宮城県神社庁

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