陸心源

陸心源（りく しんげん）について

陸心源（Lu Xinyuan、1838年 - 1894年）は、清代の著名な蔵書家であり、金石学者としてもその名を知られています。彼の字は「剛甫」または「剛父」で、号は「存斎」、晩年には「潜園老人」とも称されました。

経歴

陸心源は1838年、現在の浙江省湖州市にあたる湖州府帰安県で生まれました。幼少期から類い稀なる才能を示し、万青藜や呉式芳、張錫庚といった名師のもとで学ぶことで、その知識を深めました。1859年、彼は咸豊9年の年に挙人となり、同年に起こった太平天国の乱を鎮圧するために総督の劉長佑に従軍しました。

1865年に彼は広東南韶兵備道として配属され、最終的には福建塩運使の役職にまで昇進しました。彼はその間、数回にわたって土匪（山賊）の討伐を行いましたが、業務上の不手際が多かったため、塩運事業には大きな損失をもたらしてしまいます。その結果、彼は上奏により職を辞することとなりました。

官職を辞去後、陸心源は故郷の東郊外に「潜園」という名前の隠居場所を構え、この地で余生を過ごしました。1894年に彼は亡くなりました。

蔵書家としての業績

陸心源は金石学に深い造詣があり、その知識を生かして数多くの著作を残しました。彼の作品には『金石録補』や『穣梨館過眼録』などがあり、これらは彼の研究と愛好の証であると言えるでしょう。その他にも『皕宋楼蔵印』や『千甓亭古専図釈』といった著書が存在します。

彼は「皕宋楼」「十万巻楼」「守先閣」という三つの文庫を創設し、その蔵書は15万巻を超える膨大な旨を誇ります。陸心源は瞿紹基、楊以増、丁申、丁丙の丁兄弟とともに、清代末期の四大蔵書家の一人として広く知られています。彼の蔵書は質量共に高く評価され、当時の文化的な影響力を持っていました。

1906年には、彼の息子である陸樹藩によって、多数の蔵書が岩崎弥之助の静嘉堂文庫に売却されることとなります。この出来事は陸心源の蔵書がその後も日本において重要な文化財として保存される契機となりました。

結論

陸心源はその研究や著作を通じて金石学の発展に貢献し、文庫の創設を通じて数多くの書物を後世に残しました。彼の業績は現在でも評価されており、蔵書家としての地位は不動のものとなっています。教育と文化の継承において、彼の存在は欠かせないものと言えるでしょう。

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