金石学

金石学（きんせきがく）

概要

金石学は、中国の古代青銅器や石碑に刻まれた銘文を対象に研究する学問分野です。研究対象には、先秦時代の器物や秦の始皇帝による石刻、漢代の画像石、さらには後の時代の墓碑や銅鏡、古銭などが含まれます。これらの研究を通じて、古代文化や歴史の理解が深まることを目的としています。

歴史的背景

金石学の歴史は、さまざまな文化的背景とともに発展してきました。特に重要なのは、宋代から清代にかけての研究の進展です。

宋代の金石学

金石学の始まりは北宋時代にさかのぼります。この時期、欧陽脩が金石や石刻の拓本を収集し、『集古録跋尾』の編纂を行いました。このような活動が金石学の基盤を築きました。さらに、宋代の学者である劉敞は、古銅器に関する研究を提唱し、器形、文字、歴史の三つの側面からアプローチすることを示しました。

徽宗皇帝は王黼に対して『宣和博古図』を作成させ、器形の研究を進め、多くの名称がこの書に基づいています。南宋時代には、薛尚功が『歴代鐘鼎彝器款識法帖』を編纂し、文字解読の推進に寄与しました。しかし、元明代には金石学はあまり発展しませんでした。

清代の発展

清代になると考証学が隆盛し、金石学も再び活気を帯びてきました。顧炎武や朱彝尊といった考証学者は、金石に関する重要な著作を残しました。特に、銭坫の『十六長楽堂古器款識考』は金文解読において革新的なアプローチを示しました。また、程瑶田は古典から器物を比較する名物学に精通していました。

清代の後期には、呉大澂が金文に対する新たな解釈を行い、従来の誤謬を訂正するなど、金石学の発展に貢献しました。さらに、地方別の石刻集録が行われ、王昶の『金石萃編』のような大規模な編纂が活発に行われました。

近代の金石学

清末から中華民国初期にかけて、新たに甲骨文字の研究が始まります。王国維は、師の羅振玉からの資料をもとに、器形学や金文学の新たな知見を提供し、上古史研究を進めました。また、趙之謙や呉昌碩といった著名な芸術家もこの分野に関与しました。

中華人民共和国の時代には、郭沫若や容庚、徐仲舒といった学者たちが王国維の研究を継承し、更に進展させました。他国においても、カールグレンや梅原末治といった研究者が金石学に関する功績を遺しました。

まとめ

金石学は、中国古代文化を理解するための重要な学問であり、その発展は多くの学者による努力を伴ってきました。今後も新たな研究が進むことが期待されます。

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