少年航空兵

少年航空兵とは

少年航空兵とは、日本軍において、陸軍と海軍の航空部隊に所属する20歳未満の兵士のことです。これらの兵士は、徴兵ではなく志願によって採用され、航空に関する専門的な教育を受けました。少年航空兵は、高度な技術と鋭敏な感覚が求められる航空任務に対応するため、早い段階から訓練を受けることが重要であるという考えに基づいて設けられました。

制度の導入

1920年代にイギリス空軍が少年技術兵制度を導入し、成功を収めたことが、各国で同様の制度が採用されるきっかけとなりました。日本では、文部省が1938年から男子中等学校で滑空部を設立し、滑空訓練を推奨しました。この訓練で適性を示した者は、少年航空兵として推薦されました。太平洋戦争が始まると、その需要に応えるため、1941年には滑空訓練が正課に格上げされ、文部省式1型練習機が使用されました。

陸軍少年飛行兵（少飛）

陸軍では、1933年から少年飛行兵の採用が開始されました。操縦生徒は満17歳以上19歳未満、技術生徒は満15歳以上18歳未満が応募資格でした。採用された者は、各地の航空関連学校で一般教育を受けた後、操縦者と技術者に分かれて専門教育を受けました。卒業後は、陸軍伍長に任官し、各飛行部隊に配属されました。陸軍では他にも、少年航空通信兵や少年戦車兵などが養成されました。少年飛行兵の制服は、陸軍幼年学校の生徒服に似た独自のものが採用され、パイピングや襟章に淡紺青色が用いられました。

海軍飛行予科練習生（予科練）

海軍では、1930年に少年航空兵の採用が始まりました。応募資格は満15歳以上17歳未満で、試験に合格した者が採用されました。当初は海軍水兵と同じセーラー服が制服として用いられましたが、不評だったため、1942年11月からは濃紺の詰襟制服に変更されました。

戦争での活躍とその後

少年航空兵は、第二次世界大戦において、航空部隊の重要な戦力として活躍しました。彼らは、日中戦争、ノモンハン事件、太平洋戦争の各戦線に幅広く従軍し、中には特攻隊員として命を落とした者もいました。

戦後、操縦士の早期育成の必要性が薄れ、より高度な教育を受けた士官が操縦士となるのが主流となりました。自衛隊では、航空学生制度を設け、操縦士を育成しています。陸上自衛隊では、陸曹航空操縦学生制度により、旧陸軍の下士官操縦学生に類似した形で操縦士を養成しています。

少年航空兵を描いた作品

少年航空兵を題材とした映画も制作されています。

少年航空兵: 1936年の松竹映画。少年航空兵を目指す少年たちの物語で、航空学校での訓練や生活が描かれています。
燃ゆる大空: 1940年の東宝映画。陸軍少年飛行兵出身の戦闘機操縦者と教官の活躍を描いた作品で、航空学校での訓練や生活が描かれています。
空の少年兵: 1940年の大映映画。ドキュメンタリー映画です。
ハワイ・マレー沖海戦: 1942年の東宝映画。海軍飛行予科練習生を目指す少年を中心に、真珠湾攻撃やマレー沖海戦を描いています。土浦海軍航空隊での訓練風景も描かれています。
決戦の大空へ: 1943年公開の戦意高揚映画。海軍飛行予科練習生を目指す少年の訓練が描かれています。

関連項目

陸軍航空士官学校
* 陸軍少尉候補者

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