隅のマガリ四目

隅のマガリ四目とは

隅のマガリ四目（すみのまがりしもく、すみのまがりよんもく）とは、囲碁における死活の特殊な形の一つです。具体的には、隅に黒石が四つ並び、一見するとセキ（双方の石が生きている状態）のように見えるものの、実際には黒が死んでいると判断される形を指します。この形は、単なるマガリ四目とは区別されます。

隅のマガリ四目の特徴

隅のマガリ四目の最も特徴的な点は、白側からいつでもコウを仕掛けることができるという点です。以下の図のような形が代表例です。


・　・　・　・
・　●　●　・
・　●　●　・
・　・　a　・


白はaの点に石を打ち、黒石4つを捨て石にする事ができます。この時、黒がbに石を抜いたとすると、次の図のようになります。


・　・　・　・
・　●　●　・
・　●　　　・
・　・　b　・


続いて白がcに打つと黒はdに打ち込むしかありません。


・　・　・　・
・　●　●　・
・　●　白c ・
・　・　黒d ・


すると白はeに抜き、コウになります。


・　・　・　・
・　●　●　・
・　●　　白e・
・　・　　・


次に白がfに打てば、黒の8子を取る事ができます。


・　・　・　・
・　　　　　・
・　白f　　・
・　・　　・


このように、白はいつでもコウを仕掛けられる一方、黒には打開策がないため、この形は黒の死とみなされます。

日本ルールと中国ルールの違い

日本ルール

日本ルールでは、実戦で必ずしも黒が死ぬとは限らない状況（例えば、盤面の他の場所に両コウゼキがある場合など）でも、白に一方的にコウを仕掛ける権利があることを重視し、この部分を単独で死にとして扱います。1989年制定の日本囲碁規約では、対局停止後の死活確認において、コウの取り返しは行わないと定められており、隅のマガリ四目は死と判定されます。そのため、白は自分の地を損なうことなく、この黒石を死に石として扱うことができます。

中国ルール

一方、中国ルールでは、自分の地に手を入れても損はないため、実戦的に白側が黒石をアゲハマとして打ち上げて解決します。つまり、実戦的な解決を重視しています。

隅のマガリ四目になる形

以下のような形も、白がXの点にダメを詰めてから上記と同様にコウを仕掛けることができるため、黒の死とみなされます。


・　・　・　・
・　●　●　・
・　●　●　X
・　・　・　・

隅のマガリ四目にならない形

以下の図のような形は、白が手を詰めていってもコウの形にはならず、黒が生きるため、隅のマガリ四目とはみなされません。この場合はセキとして扱われます。

図1


・　・　・　・
・　●　●　・
・　● □ ・
・　a b △


白a、黒bに対して、白が△とすると黒□で黒が生きになります。黒が先にaかbに打つと白に取られます。

図2


・　・　・　・
・　●　●　・
・ b □ ・
a c △ ・


白a、白b、黒cに対して、白が△とすると黒□で黒が生きになります。白a、白c、黒bでも同様の手順で黒が生きられます。黒が先にbかcに打つと白がもう一方に詰めて黒が取られます。

まとめ

隅のマガリ四目は、一見セキに見えるものの、白に一方的なコウ仕掛けの権利があるため、日本ルールでは死とみなされる特殊な形です。中国ルールでは実戦的な解決方法が取られますが、隅のマガリ四目の本質を理解することは、囲碁のルールを深く理解する上で重要な要素となります。

外部リンク

日本囲碁規約（日本棋院） - 「逐条解説 第七条－２」および「死活確認例」に、隅のマガリ四目の形が掲載されています。
隅のマガリ四目は死 改訂版
Bent four in the corner is dead - 英語による隅のマガリ四目の説明のページ
The undead bent fours in the corner - 両者の隅のマガリ四目が繋がっている、特殊な隅のマガリ四目の場合（英語）。同記事における検討では、（隅のマガリ四目を個別に死にとしている旧規約ではなく）1989年制定の日本囲碁規約で判断する場合は、セキとなるとしています。

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