死活

囲碁における死活

囲碁において「死活（しかつ）」とは、石の生死を決定する最も重要な概念です。具体的には、相手に絶対に取られない石を「生き石」、最終的に取られてしまう石を「死に石」と呼び、これらの状態を判断することを指します。

基本的な考え方

眼（め）

石の集団によって囲まれた空間を「眼（め）」と呼びます。この眼を2つ以上持つ石の集団は、相手がどれだけダメを詰めても（周囲の空いている場所に石を置いても）取られることがありません。このような石を「活きた石」「生き石」と呼びます。

逆に、眼を持たない、または1つしか持たない石の集団は、ダメを詰められることで最終的に取られてしまいます。このような石を「死んだ石」「死に石」と呼びます。

ただし、眼が2つ以上なくても、セキと呼ばれる状態の場合、自分から打たない限り相手に取られることがないので、生き石とみなされます。

眼の数は石の生死を決める上で重要であり、「一眼（いちがん）」「二眼（にがん）」と数えます。終局時には必ず死活の判定が必要になりますが、複雑な形の場合、その判断は必ずしも簡単ではありません。しかし、ある程度の実力があれば、生死の判定に関する意見はほぼ一致します。

欠け眼（かけめ）

一見2つの眼があるように見えても、片方が将来的にダメ詰めで潰れてしまうような眼を「欠け眼」と呼びます。欠け眼のある石の集団は、最終的には死んでしまいます。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

例1：一見2つの眼があるように見えるが、aの点が将来的にダメを詰められると、アタリになってしまい、眼として機能しなくなる。
例2：黒が1の点に打つと、白が黒1を取ってもこの部分が欠け眼になるため、白は死んでしまう（このような捨て石の手を「ウチカキ」と言う）。逆に白が先に1の点に打てば、二眼を確保して生きることができる。

ナカデ（中手）

石の集団の中にある一点が、生死を分ける場合があります。例えば、以下のようなケースが考えられます。

例：中央の点（黒1）に黒が打つと、白は眼を一つしか作れず死んでしまう。逆に白がこの点に打てば、二つの眼を作って生きることができる。

この状況を「ナカデ（中手）」と呼びます。

死活の特別な形

基本的に二眼を確保すれば生きるというのが原則ですが、実際には以下のような様々なケースが存在します。

コウ：同じ形が繰り返される状態。
三コウ：3つのコウが絡み合った状態。
万年コウ：どちらも譲らない状態が続くコウ。
セキ：双方が相手の石を取ることができない状態。
隅のマガリ四目：隅にできる特殊な形。
長生：特殊なコウの形。
欠け眼生き：欠け眼が複数あるにも関わらず、全体で生きている状態。

死活問題

詰碁などの死活を扱う問題を「死活問題」と言います。現代日本語では、「わが社にとっての死活問題」のように、非常に重要な問題を表す言葉としても用いられます。これは、囲碁の死活が石の生死を左右する最も重要な要素であることに由来しています。

まとめ

囲碁における死活は、ゲームの勝敗を大きく左右する重要な概念です。基本を理解し、様々なケースに対応できるように練習を重ねることが、囲碁上達への鍵となります。

参考資料

『新・早わかり死活小事典』日本棋院
『こだわり講座〈5〉基本死活 虎の巻 (囲碁文庫) 』日本棋院
加藤正夫『死活小辞典』誠文堂新光社
趙治勲『基本死活事典　上・下』日本棋院
張栩『基本死活事典』日本棋院
大平修三『現代囲碁文庫17　初段の心得　実戦死活の百科 』誠文堂新光社
『林海峯の死活に強くなる本』誠文堂新光社
石田芳夫『目で解く実戦詰碁』誠文堂新光社
林海峯『死活手筋集』全3巻　大泉書店

外部リンク

江場弘樹『基本死活辞典』
やさしい詰碁を解きましょう
詰碁問題集（峯松正樹） - archive.today（2013年4月27日アーカイブ分）
* goproblems

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