隅田川橋梁 (東武伊勢崎線)

隅田川橋梁：浅草の情緒を彩る鉄道橋

隅田川橋梁は、東武鉄道伊勢崎線（東武スカイツリーライン）が隅田川を渡る際に利用する鉄道橋です。別名「花川戸鉄道橋」とも呼ばれ、浅草のランドマークの一つとして親しまれています。

概要

この橋は、東武鉄道が浅草駅まで路線を延伸する際に建設されました。隅田川河畔の景観に配慮し、圧迫感を軽減するため、高いトラス橋ではなく、架線柱に曲線を取り入れたデザインが採用されています。また、隅田公園の景観を損ねないよう、建設ルートは公園を避けるように設定されました。かつて橋のすぐ東側には隅田公園駅が存在し、1931年から1943年まで利用されていました。

デザイン性の高さを示すエピソードとして、太平洋戦争後、進駐軍が東京大学を訪れた際、橋梁設計者の田中豊が見せた設計図に感銘を受け、持ち帰ったという逸話が残っています。

浅草駅への進入における運転上の制約から、橋梁付近の制限速度は15km/hに設定されています。また、通常は工事・保守作業の危険性や脱線時の二次災害のリスクを考慮し、橋梁上に分岐器は設置されませんが、浅草駅側の高架区間が急カーブであり、両渡り線を設置する十分な長さがないため、やむを得ず設置されています。

列車がゆっくりと鉄橋を渡る様子は、浅草の穏やかな風景に溶け込み、情緒を一層引き立てています。2018年3月からは夜間のライトアップが開始され、西岸からは東京スカイツリーとの美しい共演を楽しむことができます。2020年には、隅田川橋梁の色が東京スカイツリーと同じ「スカイツリーホワイト」を基調としたカラーに塗り替えられ、景観に更なる調和をもたらしています。

諸元

構造形式：複線中路カンチレバーワーレントラス（3径間）
橋長：166m（51m + 64m + 51m）
鋼材重量：910トン
着工：昭和2年
竣工：昭和6年5月25日
施工主体：東武鉄道
橋梁設計：田中豊
橋桁製作：横河橋梁製作所

すみだリバーウォーク

浅草と東京スカイツリータウンを結ぶ新たな回遊ルートとして、隅田川橋梁の下流側に歩道橋「すみだリバーウォーク」が併設されました。2020年6月18日に開通し、浅草から東京ミズマチや東京スカイツリータウンへ徒歩でアクセスできるようになりました。通行は無料で、午前7時から午後10時まで開放されており、自転車も手押しで通行可能です。

隣の橋

隅田川における隅田川橋梁の隣の橋は以下の通りです。

上流：桜橋 - 言問橋
下流：吾妻橋 - 駒形橋

隅田川橋梁は、浅草の歴史と景観を象徴する鉄道橋として、多くの人々に愛されています。隅田川を訪れた際には、ぜひその美しい姿を眺めてみてください。

外部リンク

* 東武鉄道隅田川橋梁詳細データ（土木学会付属土木図書館デジタルアーカイブスより）

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