隅返

隅返（すみがえし）の解説

隅返は、柔道の投技の中でも特に珍しい真捨身技の一つであり、国際柔道連盟（IJF）での略号はSUGです。この技は日本ではあまり普及していないものの、旧ソ連圏、特にロシアやジョージアなどの選手には多く見られる得意技となっています。この記事では、隅返の特徴、実施方法、及び歴史的な背景について詳しく解説します。

技の特徴と実施方法

隅返の基本的な動作は、まず相手を前方に崩すところから始まります。次に自らの体を仰向けに倒すことで、相手との距離を取ります。この際、自身の足の甲を相手の太腿の内側に引っ掛けます。この接触によって、相手を跳ね上げる準備が整います。最終的には、頭を越えさせて相手を投げ飛ばす技となっています。

隅返は通常の巴投とは異なる点も多く、巴投は足裏で相手の下腹に当てることで投げるため、視覚的な違いもあります。このため、初心者や観客の中には、この二つの技が混同されることが多いです。

リスクと弱点

隅返の特徴的な点は、リスクを伴うところです。発声をせず、相手に動作が読まれてしまうと、自分自身が逆に投げられてしまう危険性があります。特に、大内刈や小内刈といった他の技を組み合わせられると効果的に対策を取られてしまうため、そうした場合の対処が必要です。

隅返を得意とする選手たち

この技を主力として活用する選手は、特に旧ソ連圏の国々に多く存在します。例えば、ソ連出身のグリゴリー・ベリチェフやハンガリーのチェース・イムレ、ベラルーシのユーリ・ルイバク、フランス代表のテディ・リネールなどがその代表例です。中でも、ルイバクは2005年の嘉納杯において、隅返を用いた一本勝ちを経験しており、その技術力を証明しています。

投の形

隅返は、投技の形として真捨身技の中で非常に特異な位置を占めています。特に大会の場では、そのリスクを承知の上で有効に活用されています。技を行う際には、心構えとして相手の動きを読むこと、そして自身の動作を予測されないようにすることが求められます。

様々な技の活用

また、河津掛のように脚を絡ませた状態で横に投げる方法もあり、この方法は国際大会では特に多用される傾向があります。隅返のような捨身技は一見して華やかに見える一方で、その実施には高度な技術を要し、成功率も高くありません。そのため、重圧がかかる試合の中でこの技を選択する選手たちは、自信と高い技術力に裏付けられた意志を持っています。

まとめ

隅返は柔道の中でも特に戦略的で技術的な要求をもつ技であり、選手の柔道的センスが試される瞬間です。これからも多くの選手がこの技を駆使し、新たな戦術を生み出していくことでしょう。

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