小内刈

小内刈（こうちがり）

小内刈は、柔道の投げ技における足技21本の一つで、刈り技に分類されます。講道館や国際[[柔道連盟]] (IJF) で正式な技名として認められており、IJF略号はKUGです。

概要

小内刈は、相手の脚を自分の脚の内側から刈る技です。具体的には、相手の体重が乗っている一方の脚を内側から手前に刈り、バランスを崩して倒します。右組みの場合、自分（取り）は相手（受け）を真後ろか右後ろ隅に崩し、自分の右足の土踏まず付近で相手の右足のかかとをつま先方向に刈り、後方へ倒します。

自らが下がりながらかける場合は、後ろ捌きで相手の右足を大きく引き出し、体を左に捌きながら、右足裏で相手の右脚を内側からつま先の方向に刈ります。

この技を防ぐには、刈られた脚の力を抜くのがコツです。力を入れていると、相手の力が上体に伝わりやすくなり、倒されやすくなります。力を抜けば、相手の力は掛かっている脚にのみ伝わり、耐えやすくなり、技を外すことも容易になります。

小内刈は大内刈、内股、背負投などと連携しやすく、多様な変化技が存在します。

女子柔道家の山口香選手が、この技を得意としていました。

1948年の講道館機関誌『柔道』において、玉嶺生は小内刈が相撲の決まり手である「ちょん掛け」に相当する技であると述べています。

変化技

小内払（こうちはらい）: 相手の体重が乗っている脚を、自分の脚を横に移動させながら、脚の内側で内から外へ払う小内刈です。
両手殺し小内刈（りょうてころしこうちがり）: 相手の両袖を取り、相手が右足を前に踏み出した瞬間に、右足を相手の右かかとに引っ掛け、同時に左手で相手の右手を相手のへそに押し付け、右手で相手の左手を相手の右肩に押し上げます。引っ掛けた相手の右足を両足の間に引き込み、相手の上体を押し込む小内刈です。石黒敬七が得意としており、「石黒の小内刈」とも呼ばれました。
小内掛（こうちがけ）: 脚または足を掛けるだけで、刈る動作がない小内刈です。柔道家の工藤一三は、1956年の書籍『柔道講座』の小内掛の項で、小内巻込を本法として紹介し、別法としてこの技を紹介しています。「小内落（こうちおとし）」とも呼ばれます。
小内車（こうちぐるま）: 小内刈の変化技ですが、正式な技としては認められていません。技をかけることはできますが、脚を掛けて支点にした際に、小外刈、小外掛、大外刈、大外落と比較すると、遊びができてしまい、相手に反撃されやすいという側面があります。

返し技

小内刈に対する特有の返し技としては、小内返、小内刈返しがあります。その他にも、以下のような返し技が存在します（右組みの場合）。

出足払で返す: 刈りに来た相手の右脚をかわし、その脚を自分の左足で払って投げます。
膝車で返す: 刈りに来た相手の右脚を自分の右足を浮かせてかわした後、その浮かした右足を相手の軸脚（左脚）の膝に当て、前方にひねって投げます。
朽木倒で返す: 刈りに来た相手の右脚を左手で抱え、押し倒します。残った軸脚を内側から刈れば大内刈となります。
小内刈で返す: 刈りに来た相手の足を燕返のようにかわして、逆に小内刈を仕掛けます。
* 小内刈で返す: 相手の小内刈に対して、小内刈で押し返すようにして投げます。カウンターパンチのように、カウンターキックとして小内刈を繰り出すイメージです。

分類と名称

1982年の「講道館柔道の投技の名称」制定の際、小内払や小内掛は新名称の候補に挙がりましたが、小内刈に含めることになり、独立した技名としては認められませんでした。

かつて、講道館では横捨身技である小内巻込も小内刈に包含されていました。しかし、技術の多様化に対応するため、講道館技研究部で技名称の再検討が行われ、2017年に小内巻込をIJFに合わせる形で正式に横捨身技として認めることになりました。

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