隆平永宝

隆平永宝について

隆平永宝（隆平永寳、りゅうへいえいほう）は、日本の貨幣制度において重要な役割を果たした銭貨であり、796年（延暦15年）から発行されました。この貨幣は、皇朝十二銭の中でも4番目に位置付けられています。隆平永宝の発行は、当時の日本における鋳造および流通の流れを大きく変えるものでした。

始鋳と材質

隆平永宝の始鋳年は、前述の通り延暦15年（796年）であり、材質は主に銅が用いられています。この銭貨の重さは約3.0gで、直径は24.3mmから26.1mmまでのバリエーションがあります。また、銅分は約69.50%とされています。さらに、銭文には「隆平永寳」という文字が刻まれており、これは桓武天皇と空海によって記されたとされています。

荒廃した貨幣価値の回復

隆平永宝の発行は、桓武天皇が在位していた時代にさかのぼり、日本の貨幣制度における重要な改革の一環と考えられています。『日本後紀』によると、銭貨の価値が低下していたことを受け、隆平永宝は旧銭に対して10倍の価値を持たせる形で発行されました。日本の古い銭貨、具体的には和同開珎や万年通宝、神功開宝の有効期間を新貨発行後4年間に制限することで、流通の円滑化を図りました。

流通の実態

しかし、隆平永宝は当初意図されたほど市場に行き渡らず、流通の状況は厳しいものでした。結果として、大同3年（808年）には旧銭との併用が認められ、徐々に市場に浸透することとなります。この際の措置は、貨幣の流通を促進するために不可欠なものでした。また、『拾芥抄』の記録によれば、隆平永宝の流通は弘仁8年（817年）まで続いたとされています。

まとめ

隆平永宝は、日本の貨幣史において重要な位置を占める銭貨の一つです。その発行背景には、貨幣価値の回復や流通の円滑化を目指す政策があったことが伺えます。在位した桓武天皇の意見を反映し、流通が改善される一方で、市場における貨幣の安定性を実現するための努力が求められました。この銭貨は、日本古代の経済活動や商業の発展を示す重要な証拠でもあり、その存在意義は今なお評価されています。

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