拾芥抄

拾芥抄（しゅうがいしょう）

『拾芥抄』は南北朝時代初期に編纂された百科事典で、全3巻から構成されています。本書は「拾芥略要抄」や「略要抄」とも称され、その内容は貴族に必要不可欠な情報を72の部門に分けて集約しています。本書の重要性は、貴族社会における知識や文化を理解するための重要な資料として medieval から近世にかけて現在に至るまで広く利用されてきた点にあります。

編纂者とその歴史的背景

『拾芥抄』の編纂者に関しては、諸説存在しますが、主に鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて活躍した公卿・洞院公賢が編纂し、その後洞院実熙が増補したとされています。永仁2年（1294年）の『本朝書籍目録』には「拾芥略要抄」の名が記されており、これが本書の原型が鎌倉時代中期に成立したという見解を支持している証拠ともなっています。

本書は99部にわたる内容で、上巻には歳時に関する知識、中巻には官職と関連する規則、下巻には社会での実践に関する事柄が詳述されています。特に『源氏物語』の巻名目録において現行の54帖に含まれない「桜人」の巻が存在することなど、独自性あふれる記載がなされています。

文化財としての価値

現存する資料の中で、東京大学史料[[編纂所]]に所蔵される写本は室町時代初期に遡るものであり、それが重要文化財に指定されています。また、江戸時代には複数の刊行物が出回り、その中に「慶長古活字本」として知られているものもあります。

『拾芥抄』は、書籍に関する古い文献研究などにも引用され、多くの国学者や歴史研究者に重宝されてきました。特に江戸時代後期の国学者たちが洞院公賢の著作と考えたことから、その名声は高いです。

書名と内容

本書の正式タイトルについては議論があり、主に『拾芥略要抄』とされることが多い一方で、実際の書物には様々な呼称が見られます。例えば、上巻、下巻、中巻それぞれに異なる首題が付されています。このような事情から、『拾芥抄』という名称が現代の国文学研究資料館での統一名称として使用されています。

具体的な内容と構成

全体の構成は次の通りです：

• - 上巻：歳時部第一から楽器部第三十五まで。
• - 中巻：百官部第一から田籍部第二十五まで。
• - 下巻：諸社部第一から養生部第三十九まで。

このように各巻はそれぞれ特定のテーマに従って情報が編纂されており、貴族の生活様式や年中行事、風俗にいたるまで、さまざまな知識が体系的に整理されています。

参考となる資料

本書に関する参考文献として、山田英雄の「国史大辞典」や清田善樹の「日本史大事典」などがあり、さらにデジタルアーカイブにおいても『拾芥抄』の写本や活字本が公開されています。このように、過去から現在にかけての文化的遺産として本書は非常に重要な位置を占めています。

結語

『拾芥抄』は単なる類書にとどまらず、歴史的な背景とともに貴族社会を知るための貴重な資料です。今日においてもその学術的な価値は失われておらず、日本の歴史文化を探求するための重要な鍵となるでしょう。

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