障害者歯科学

障害者歯科学とは

障害者歯科学は、様々な障害を持つ患者さんに対し、歯科医療を提供する専門分野です。対象となる患者さんは、重度心身障害、知的障害、自閉症、筋ジストロフィー、ALS（筋萎縮性側索硬化症）、脳血管障害、嚥下障害など、多岐にわたります。

概要

障害者歯科学は、障害を持つ方々の歯科医療全般を扱う広い分野です。通常の歯科治療に加えて、障害の特性に合わせた特別な配慮や技術が求められます。主な歯科医療行為は以下の通りです。

歯科治療: 歯周病治療、補綴治療、予防処置など、一般的な歯科治療を行います。患者さんの状態に合わせて、無理なく治療を進めるための工夫が必要です。
全身麻酔・鎮静: 治療に協力が得られない場合は、全身麻酔や静脈内鎮静法を用いて、安全に治療を行います。麻酔前後の管理も重要な役割です。
嚥下障害の診断と治療: 摂食・嚥下機能の評価を行い、訓練や指導を行います。必要に応じて、食事の形態や姿勢の調整も行います。
観血処置: 抗血栓療法を受けている患者さんの抜歯など、出血のリスクが高い処置を行います。内科医と連携し、安全な治療計画を立てます。
モニタリング下での歯科治療: 循環器疾患を持つ患者さんの歯科治療を行います。血圧や心電図などを мониторинг しながら、安全に治療を進めます。
口腔ケア: 病棟や施設などで、他職種の医療従事者に対し、口腔ケアの指導や情報提供を行います。
啓蒙活動: 障害者歯科医療の重要性を広く社会に啓蒙する活動を行います。

口腔ケアの重要性

近年、口腔内細菌が、嚥下障害や呼吸器疾患、循環器疾患など、様々な疾患に関連していることが明らかになってきました。そのため、病院や施設などでは、口腔ケアへの関心が高まっています。

しかし、歯科医師と、看護師などの他職種との連携が十分でない現状があります。口腔ケアチーム、栄養サポートチーム (NST)、嚥下障害チームなどに、歯科が参加していないことも少なくありません。歯科側の連携能力の向上が求められています。

歯学と医学の連携不足は、障害者歯科医療において特に顕著です。それぞれの専門性を活かし、患者さん中心のチーム医療を推進していく必要があります。

関連情報

日本障害者歯科学会

もう一度検索