隠戸型給油艦

隠戸型給油艦について

隠戸型給油艦（おんどがたきゅうゆかん）は、日本海軍において使用される運送艦の一種で、給油艦としての役割を果たしました。この艦型は、特に戦時中の重要な運用を支え、海軍の戦略において欠かせない存在でした。

計画の背景

隠戸型給油艦の建造は、1923年に締結されたワシントン海軍軍縮条約の影響を受けて始まりました。この条約により、当時の日本の主要造船所では新たな艦艇建造の抑制が必要となり、呉海軍工廠、横須賀海軍工廠、川崎造船所、そして三菱造船長崎造船所の4か所で仕事の減少が懸念されました。それに対応するため、大正12年度に計画されていた給油艦の建造が前倒しで行われ、最終的には3隻の艦が発注されました。これらの艦が隠戸型として知られることになります。

艦型の改良

隠戸型は、前に建造された知床型給油艦の設計に基づいていますが、いくつかの改良が加えられています。具体的には、船体の構造が改正され、デリック設備が強化されました。また、主缶においては知床型の円缶を廃止し、より効率的な艦本式水管缶または宮原式水管缶を採用しています。これにより、艦型に大きな変更は見られないものの、基本性能の向上が図られています。

運用と活動

この艦型は、昭和に入ってから徐々に旧式化し、速力が劣るために新たに建造された高速の民間タンカーや海軍の新型給油艦にその役割を奪われることとなりました。しかし、隠戸型は太平洋戦争開戦前の平時において、知床型艦艇と共に388航海にわたり石油を輸送し、その輸送量は約300万トンにも達しました。戦争開始時に日本海軍が保有していた石油の総量は500万トンであり、単純に計算すると、その半分以上が隠戸型及び知床型により運搬されていました。

戦争における役割

隠戸型給油艦は太平洋戦争にも投入されましたが、その主な役割は艦隊への洋上給油ではなく、日本本土への重油輸送でした。このような活動を通じて、海軍の戦闘能力の向上に貢献したのです。

同型艦

隠戸型には、隠戸（おんど）の他に、早鞆（はやとも）、鳴戸（なると）といった同型艦が存在します。これらの艦船も同様の役割を果たし、海軍の運用に寄与しました。

結論

隠戸型給油艦は、日本海軍の運送艦として、その設計や運用において大きな重要性を持った艦です。平時・戦時を問わず、石油輸送に貢献し続けたこの艦型は、日本海軍の戦略にとって欠かせない存在でした。その活動は、海軍の機動力や持続力を支える重要な要素として評価されています。

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