知床型給油艦

知床型給油艦の概要

知床型給油艦（しれとこがたきゅうゆかん）は、大日本帝国海軍の一員として活躍した給油艦の一群を指します。彼らは時に能登呂型給油艦または襟裳型給油艦と呼ばれることもあります。これらの艦船は、海軍の給油能力を大きく向上させるために設計されました。

建造の背景

知床型給油艦は、大正時代に入るとともに、日本の海軍における油脂の重要性が認識され、これに対応する形で建造が始まりました。大正6年度の八四艦隊計画において2隻、翌年の八六艦隊計画では5隻の計7隻が建造されることになりました。当初の計画では合計8隻の建造が予定されていましたが、そのうちの1隻は給糧艦として改造され、給糧艦「間宮」として就役しました。このように、他の艦と同一系列として計画された知床型給油艦の中で重要な位置を占めていました。

艦の変遷

建造された艦の中で、最初の艦「能登呂」は、後に水上機母艦としての役割を担うことになります。また、2番艦の「知床」は給炭艦としての改装が施され、3番艦の「襟裳」は、戦時中に様々な役割を果たしました。艦ごとの役割の変化は、知床型給油艦そのものが、海軍の運用戦略に適応していったことを示しています。

特に「襟裳」は、太平洋戦争における南方作戦時に、大量の重油と真水を搭載し、艦隊への給油任務を成功させた例があります。この背景には、タンカーとしての運用だけでなく、戦艦用の補給も考慮された設計がありました。

計画の成果と課題

当時、日本の海軍が所有していたタンカーは少数であり、給油艦の重要性が高まっていました。そのため、知床型給油艦は初めて同型艦を多く建造した事例として、海軍の戦力向上に寄与しました。海軍用のタンカーは、民間のタンカーと異なり、乗組員の居住区や補給用の真水タンクを備えていたため、効果的な補給任務を果たすことができました。

艦ごとの詳細

以下は、知床型給油艦に関する各艦の詳細です。

• - 能登呂（のとろ）：1920年8月10日に竣工し、1934年には水上機母艦に類別変更。戦後はシンガポールで大破し、海没処分されました。
• - 知床（しれとこ）：1920年9月20日に竣工し、1945年に爆撃で沈没。戦後解体されました。
• - 襟裳（えりも）：1920年12月16日に竣工。1942年にアメリカの潜水艦の攻撃を受けて沈没し、除籍されています。
• - 佐多（さた）：1921年2月24日に竣工し、1944年にパラオ大空襲で沈没しました。
• - 鶴見（つるみ）：1922年3月4日に竣工。1944年に潜水艦の雷撃を受けて沈没しました。
• - 尻矢（しりや）：1922年2月8日に竣工し、1944年に潜水艦の攻撃を受けて沈没しました。
• - 石廊（いろう）：1922年3月4日に竣工し、同年にパラオで大破擱座しました。

総括

知床型給油艦は、短期間ながらも多くの役割を担い、日本海軍の運営において不可欠な存在でした。艦隊の戦略的な運用に大きな貢献を果たし、その改装や運用方法は、他の艦艇に対するモデルとなりました。日本海軍における給油艦の重要さを再確認させる存在であったと言えるでしょう。

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