隠蔽捜査 (テレビドラマ)

今野敏による警察小説シリーズ『隠蔽捜査』を原作としたテレビドラマは、複数の系列局で制作・放送されています。

テレビ朝日版

最初に制作されたのは、テレビ朝日系列「土曜ワイド劇場」枠での2時間ドラマとしてです。2007年10月28日に第1作が、翌2008年10月4日に第2作『隠蔽捜査2〜果断〜』が放送されました。主演は俳優の陣内孝則さんが務めています。

主人公の竜崎伸也は、警察庁長官官房総務課長を務めるエリートキャリア官僚として登場します。組織の規範に忠実で、周囲からは「警察組織の番犬」と評される彼ですが、第1作の終盤では、息子が起こした不祥事の責任を取り、西杉並署署長へ事実上の左遷となります。第2作では、大森中央署署長として赴任し、管内で発生した立てこもり事件の指揮にあたります。その一方で、妻の冴子が病で倒れるなど、家庭でも困難に直面します。

竜崎と対立しつつも協力する警視庁刑事部長の伊丹俊太郎役は、柳葉敏郎さんが演じました。第1作で、捜査情報のもみ消し工作を竜崎の機転によって回避できたことに恩義を感じ、それ以来竜崎には「頭が上がらない」と発言しています。第2作では、大森中央署での立てこもり事件の指揮本部長として登場します。

竜崎家の人々としては、妻の冴子を原田美枝子さん、息子の邦彦を大東俊介さん、娘の美紀を井村空空美さんがそれぞれ演じました。その他、風間トオルさん、高橋ひとみさん、田山涼成さん、伊武雅刀さん、西村和彦さんなど、ベテランから中堅まで多彩な俳優がゲスト出演しています。

TBS版

その後、舞台をTBS系列に移し、2014年1月13日から3月24日まで「月曜ミステリーシアター」枠で連続ドラマとして放送されました。全11話で、主演は杉本哲太さんと古田新太さんのダブル主演です。杉本哲太さんはこれが民放連続ドラマ初主演、古田新太さんはゴールデンタイムの連続ドラマ初主演となりました。

TBS版でも、主人公の竜崎伸也は警察庁長官官房総務課長からキャリアをスタートさせ、やがて大森北警察署長に就任します。杉本哲太さんが竜崎伸也を、古田新太さんが警視庁刑事部長の伊丹俊太郎を演じました。このバージョンでは、竜崎が連続殺人事件や組織内の権力争いに巻き込まれる中で、自宅で麻薬を使用していた息子・邦彦の問題という、より深刻な家庭内の危機にも直面します。

大森北署の刑事・戸高善信役には安田顕さん。竜崎の妻・冴子役は鈴木砂羽さん、娘の美紀役は三倉茉奈さん、息子の邦彦役は佐野玲於さんが演じるなど、主要キャストが一新されました。ただし、副署長役の松澤一之さんをはじめ、テレビ朝日版から一部引き継がれたキャストもいます。

連続ドラマ終了から約5年後の2019年3月11日には、同キャストによるスペシャルドラマ『今野敏サスペンス 隠蔽捜査〜去就〜』が「月曜名作劇場」枠で放送され、再び話題となりました。このスペシャル版では、ストーカー事件などを通じて竜崎の新たな葛藤が描かれています。

スタッフ

両バージョンともに原作は今野敏さんです。テレビ朝日版の脚本は西村タカシさんが担当し、演出は真船禎さんなどが手掛けました。TBS版では、中澤圭規さん、嶋田うれ葉さん、松本美弥子さん、熊本浩武さんが脚本をリレー形式で担当し、スペシャル版「去就」は小山正太さんが脚本を手掛けました。演出は岡本伸吾さん、酒井聖博さん、田中健太さんなどが担当し、音楽は窪田ミナさんが担当しました。

警察組織の内情や、家庭と仕事のバランスに苦悩する主人公の姿をリアルに描き出したこれらのドラマシリーズは、多くの視聴者を引きつけました。

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