雑巾

雑巾とは

雑巾は、掃除の際に使用される布状の道具です。主に、物品の表面に付着した汚れやこぼれた液体を拭き取るために使われます。「巾」という字は布切れを意味しており、雑巾は様々な素材の布で作られています。乾燥した状態で使う乾拭きと、水で濡らして使う水拭きがあり、状況に応じて使い分けられます。

雑巾はウエスと似ていますが、ウエスは不定形で使い捨てにされることが多いのに対し、雑巾は繰り返し使用することを前提として、耐久性があり、一定の形状で作られています。また、スポンジやセーム革など、繊維製品ではない樹脂多孔体の拭き掃除用具とは区別されます。

雑巾の使い方

雑巾は、乾拭きや水拭きに加え、必要に応じて界面活性剤を加えて汚れを落とします。使用中は、雑巾についた大きなホコリを取り除き、裏返すなどして新しい面を出すことで、同じ雑巾で掃除を続けられます。基本的には手で持って拭きますが、モップのように柄が付いた「棒雑巾」と呼ばれる製品もあります。

雑巾を足で踏んで拭く行為はマナー違反とされることが多いですが、体重の軽い女性や子供にとっては、より強い摩擦力を加えられる合理的な方法とも言えます。使用後の雑巾は、乾拭きの場合は叩いて埃を落とし、水拭きの場合は水で洗って絞り、再使用に備えます。

木[[綿]]やマイクロファイバー製の雑巾は洗濯して再利用できますが、薬剤を含浸させた化学雑巾や不織布、ウェットティッシュタイプのものは、家庭での洗濯や再含浸ができないため、使い捨てにする必要があります。特に化学繊維の雑巾から出る微細な繊維は、マイクロプラスチックとして環境汚染の原因となる可能性があるため、注意が必要です。

日本の教育と雑巾

日本の小学校では、掃除の時間に雑巾がよく使われ、児童が雑巾を持参することがあります。学校には、雑巾をゆすぎ絞るためのバケツが常備されていることが多いです。また、雑巾は簡単に作れるため、家庭科の授業で製作することもあります。

寺院や神社では、弟子の教育の一環として、雑巾がけを行うことがあります。

雑巾掛け

雑巾で床などを拭く行為は「雑巾掛け」と呼ばれます。近年では、雑巾掛けをスポーツ競技として行う大会も開催されています。愛知県豊橋市では雑巾がけレースの世界大会も開催されており、地域イベントとしても注目されています。

雑巾の歴史

鎌倉時代の絵図には、棒の先に布を巻き付けたモップのような掃除具が描かれており、これは現代の棒雑巾に似ています。手に持って拭くための布は、室町時代に「浄巾」と呼ばれ、これが雑巾の語源と考えられています。江戸時代には、使い古しの木[[綿]]布を重ねて縫い合わせた雑巾が普及しました。当時は手作りが基本でしたが、近年では工場で製造された製品も多くなっています。

昔は、菜種油を染み込ませた油雑巾が、木造建築の仕上げに使われることもありました。

雑巾の製品

一般家庭では、使い古した布巾やタオルが雑巾として利用されることも多いです。以前は古着などを雑巾に再利用する習慣がありましたが、使い捨ておむつの普及や安価な雑巾の登場により、そのような習慣は減りました。現在では、最初から雑巾として作られる製品も多く、ミシンを使って製作されることが一般的です。

市販の雑巾には、特殊繊維を使った薄手のものや、タオル地のものなどがあります。21世紀初頭の日本では、スーパーマーケットや100円ショップなどで手軽に購入できます。一般的な雑巾は長方形のものが多く、素材は綿、ポリエステル、ナイロン、レーヨンなどが使われています。マイクロファイバー雑巾はポリエステル製です。ワイパー用の雑巾は、安価な不織布で作られています。

市販品は白いものが多いですが、色付きの製品もあり、清掃業では場所によって色分けして使用されることもあります。使い捨ての紙製雑巾もあり、これらはペーパーダスターやキッチンダスターと呼ばれます。また、古新聞も使い捨ての雑巾として利用されることがあります。

界面活性剤やオレンジオイルなどを染み込ませた「化学雑巾」や、ウェットティッシュタイプの掃除具も市販されていますが、これらは雑巾とは区別されることが多いです。

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