雑訴決断所

雑訴決断所について

雑訴決断所（ざっそけつだんじょ）は、日本の南北朝時代、特に建武の新政期に設けられた訴訟機関で、その設立は後醍醐天皇の意向によるものでした。この機関は、主に土地に関する争い、すなわち所領の相論を扱い、当時の公家や武家のメンバーが参加していました。しかし、建武政権の崩壊に伴い、雑訴決断所も短期間でその役割を終えることになります。

雑訴の概念

中世において「雑訴」と呼ばれる訴訟制度がありました。これは、土地に関連する争いを扱うもので、朝廷が公的行事を「公事」としたのに対し、土地の訴訟を雑訴と名付けました。雑訴の言葉は『平戸記』の中にも記されています。

土地訴訟の増加

時代の変遷とともに、公家や武士の社会構造が変化し、所領の分割相続に関する争いが多発しました。鎌倉時代における経済的状況や戦乱の影響も相まって、土地を巡る相論が日常的に起こるようになっています。このような時代背景が、雑訴決断所の必要性を高めました。

朝廷の改革と雑訴の位置

雑訴は当初軽視されがちでしたが、13世紀中頃からその重要性が増し、訴訟処理の迅速化が求められるようになりました。弘安9年（1286年）には訴訟手続きが整理され、雑訴沙汰が独立した制度として位置づけられるようになりました。

鎌倉幕府と訴訟処理

武家政権においても、鎌倉幕府が訴訟の迅速化を図る中で、引付という機関が設けられました。この機関は訴訟処理の主体となり、その構造は後の雑訴決断所に大きな影響を与えました。しかし、内乱などの原因から、引付は形骸化していき、訴訟の停滞が招かれました。

建武政権と雑訴決断所の創設

1333年に鎌倉幕府が滅びると、後醍醐天皇は新たな政権を樹立し、訴訟の集中管理を目指しました。その結果、雑訴沙汰を専門に扱う雑訴決断所が設立され、公私の訴訟処理を一手に引き受ける体制が整いました。組織は三番編成で始まり、後に規模が拡大して八番制へと発展しました。

決断所の構成と職務

雑訴決断所は、各地の訴訟を担当する複数の班に分かれ、それぞれが地域の争いをさばきました。公家と武士のメンバーが共存し、多様な職業背景を持つ人々によって構成されていました。彼らの重要な職務は、所領相論の採決、地頭や御家人に対する所領安堵、天皇からの綸旨の施行などです。

決断所の解体とその影響

しかし、建武2年（1335年）に足利尊氏の反乱が発生し、雑訴決断所は活動を停止しました。その後、建武政権自体が壊滅し、決断所の機能は次第に失われていきました。雑訴決断所の構成員の多くは、後の室町幕府や朝廷の訴訟機関で法曹業務を続けることになります。残された教訓から、朝廷と幕府は改めてそれぞれの訴訟機関を形成し直しました。

結論

雑訴決断所は、その短い活動期間の中で重要な役割を果たしました。公家と武家の機能が交わる中で、新たな訴訟のあり方を模索する一助となったと言えるでしょう。

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