雙龍・チェアマン

サンヨン チェアマン：韓国の高級セダン

サンヨン自動車（現・KGモビリティ）が製造・販売していた高級乗用車「チェアマン」は、その名の通り「議長」や「会長」を意味し、高級車に乗る特別な自尊心と誇りを与えるというコンセプトで開発されました。

初代チェアマン (1997-2014年)

初代モデルは、W124型メルセデス・ベンツEクラスのプラットフォームをベースに、サンヨン初の高級セダンとして1997年に登場しました。その外観は、Sクラス（W140型）を強く意識したデザインでありながら、「ベンツの血統」というキャッチコピーが示すように、メルセデスの技術が色濃く反映されていました。

モデルの変遷

• - 1997年: 発売。
• - 1998年: 雙龍自動車が大宇自動車に吸収され、「デーウ・チェアマン」として販売。
• - 2000年: 雙龍ブランド復活とともに「サンヨン・チェアマン」に車名が戻る。
• - 2001年: ラジエーターグリルとアルミホイールのデザインを変更。
• - 2003年: 大規模なマイナーチェンジを実施し、前後デザインを大幅に変更。
• - 2006年: 3.6Lエンジンを追加。
• - 2008年: 「チェアマンW」の登場に伴い、「チェアマンH」に車名変更。グレードは3.2Lエンジン搭載の「600S」と2.8Lエンジン搭載の「500S」に集約。
• - 2011年: マイナーチェンジでフロントマスクを大幅に変更。
• - 2013年: モデル廃止。

エンジンとトランスミッション

初代チェアマンのラインナップは、メルセデス・ベンツのライセンスを取得し生産された以下の3種です。

• - 3.2L 直列6気筒エンジン「CM600」
• - 2.8L 直列6気筒エンジン「CM500」
• - 2.3L 直列4気筒エンジン「CM400」

全車に5速AT「5G-TRONIC」が組み合わされました。

2代目チェアマン (2008-2017年)

2代目モデルは、初代の高級感をさらに進化させ、内外装ともに大幅な改良が施されました。特に、LEDを多用したデザインやハーマン・カードン製オーディオシステム、電子制御サスペンションなどの快適装備、スマートエントリー＆プッシュスタートシステムといった先進装備が盛り込まれ、高級車としての質が大きく向上しました。

モデルの変遷

• - 2008年: チェアマンの後継車種として登場。
• - 2011年7月: マイナーチェンジを実施。「ニューチェアマンW」に名称変更。ヘッドライトやグリル、リアレンズなど外観デザインを大幅に変更。オートレベリング機構付きHIDヘッドライトやLEDターンシグナルランプなどを採用。全長が標準/リムジンモデルともに25mm延長。
• - 2016年2月: マイナーチェンジを実施。「チェアマンW カイザー（KAISER）」に名称変更。
• - 2017年12月: 生産終了。これにより、サンヨンのラインナップから乗用車が消滅。

エンジンとトランスミッション

2代目チェアマンは、以下のエンジンラインナップでした。

• - 3.2L 直列6気筒エンジン「CW600」
• - 3.6L 直列6気筒エンジン「CW700」
• - メルセデス製5L V8エンジン「V8 5000」

また、CW700とV8 5000には、ホイールベースを300mm延長したリムジンモデル「CW700L Limousine」「V8 5000L Limousine」や、ハイエンドモデル「SUMMIT」が用意されました。
さらに、CW700には4WDモデル「CW700L 4Tronic」も存在しました。全車に7速AT「7G-TRONIC」が採用されました。

車名について

「CHAIRMAN」は英語で「議長、会長」を意味します。この車名には、「高級車に乗ることの特別な自尊心と誇りを与える」という思いが込められています。
また、「H」は「HIGH」の、「W」は「World Class」の頭文字を表しています。

サンヨン チェアマンは、その歴史の中で数々の変遷を遂げましたが、常に高級車としての地位を確立し、多くの人々に愛されてきたモデルです。

もう一度検索