雨がやんだら

朝丘雪路「雨がやんだら」

朝丘雪路さんの数ある楽曲の中でも、特に広く知られ、代表作として語り継がれているのがシングル曲「雨がやんだら」です。この楽曲は、1970年10月21日にリリースされ、翌1971年にかけて日本全国で大きなヒットとなりました。

発売とヒットの背景

当時の発売元はCBS・ソニーレコード（現在のソニー・ミュージックレーベルズ）でした。この「雨がやんだら」は、朝丘雪路さんがこのレコード会社へ移籍してから初めて世に送り出したフィジカルシングル盤としても、その音楽キャリアにおける重要な位置を占めています。

発売当初から静かに注目を集めていたこの楽曲は、リリースから約半年が経過した1971年の春先、特に3月から5月にかけて人気が急上昇し、爆発的なヒットを記録しました。その勢いはオリコンチャートにも如実に表れ、1971年4月19日付の週間シングルランキングでは、見事最高位となる5位を獲得しています。さらに、その年全体の音楽シーンを振り返るオリコン年間ランキングでも、第23位にランクインするなど、1971年を代表する一曲として人々の記憶に刻まれました。

紅白歌合戦への影響

この「雨がやんだら」のロングヒットは、朝丘雪路さんの歌手としての評価を確固たるものにし、その年の瀬に開催された『第22回NHK紅白歌合戦』への出場へと繋がる決定的な要因となりました。これは、朝丘さんにとって1966年の第17回以来、実に5年ぶりとなる紅白の舞台であり、通算では10回目の記念すべき出場でした。長年のキャリアを持つ朝丘さんにとっても、この楽曲がもたらした再度の脚光は特筆すべき出来事であったと言えるでしょう。しかしながら、残念なことに、この第22回以降、朝丘さんが紅白の舞台へ再び立つ機会はなく、結果としてこの時の出場が彼女の生涯最後の紅白歌合戦への出演となりました。

楽曲情報

「雨がやんだら」は、作詞をなかにし礼さん、作曲・編曲を筒美京平さんが手掛けた作品です。この両氏は、日本の歌謡界において数々の名曲を生み出したゴールデンコンビとして知られており、「雨がやんだら」もまた、その類まれな才能から生まれた楽曲の一つと言えます。

シングル盤には、「雨がやんだら」（演奏時間3分01秒）のほか、カップリング曲として「大人の愛について」（演奏時間4分03秒）が収録されています。こちらも作詞・作曲・編曲は、なかにし礼さんと筒美京平さんのコンビが担当しています。

時代を超えて歌い継がれる名曲

「雨がやんだら」は、その美しいメロディーと情感豊かな歌詞が多くの人々に愛され、発表から半世紀以上を経た現在も、日本の歌謡曲史における名曲としてその輝きを失っていません。特に、この楽曲は非常に多くのアーティストによってカバーされていることでも知られています。オリジナルの朝丘雪路さんによる歌唱はもちろん、それぞれの歌手が独自の解釈でこの名曲を歌い継いでいます。

以下に、この楽曲をカバーした代表的なアーティストの一部を挙げます（発表年順不同、媒体は初出または再録盤を記載）。リストを見ると、そのカバーされた年代やジャンルの幅広さがうかがえます。

奥村チヨ（アルバム『チヨ・筒美京平を唄う』）
ザ・ピーナッツ（アルバム『ザ・ピーナッツ カヴァー・ヒッツ〜わたしの城下町』）
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ（アルバム『津軽の海』）
いしだあゆみ（アルバム『砂漠のような東京で』）
由紀さおり（アルバム『この愛を永遠に』）
五木ひろし（アルバム『よこはま・たそがれ』）
フランク永井（アルバム『琵琶湖周航の歌』）
池玲子（アルバム『恍惚の世界』）
欧陽菲菲（アルバム『雨の御堂筋』）
棚橋静雄（アルバム『別離についての12章』）
サンドラ・ジュリアン（アルバム『セクシー・ポエム』）
安倍律子（アルバム『律子の季節』）
美川憲一（アルバム『美川憲一デラックス・アルバム』）
篠ヒロコ（アルバム『女・篠ヒロコの魅力』）
藤圭子（アルバム『演歌全集〜恋心』）
研ナオコ（アルバム『㐧三の女』）
麻生よう子（アルバム『愛は手さぐり/片隅のふたり』）
八代亜紀（アルバム『演歌熱唱』）
叶和貴子（アルバム『華麗なる和貴子の世界』）
天童よしみ（アルバム『天童節昭和演歌名曲選 第十五集』）
長山洋子（アルバム『捨てられて〜可愛い色気はお好き？』）
八反安未果（アルバム『忘れないわ』）
MIYAKO（アルバム『白い花の咲くころ』）
坂本冬美（アルバム『Love Songs Ⅳ〜逢いたくて 逢いたくて〜』）
氷川きよし（アルバム『新・演歌名曲コレクション9 -大丈夫/最上の船頭-|新・演歌名曲コレクション9 -大丈夫_最上の船頭-』）
岩崎宏美（アルバム『Dear Friends VIII 筒美京平トリビュート』）

これらの多様なカバーバージョンが存在することからも、「雨がやんだら」が単なる一過性のヒット曲ではなく、時代や世代を超えて受け継がれる日本のスタンダードナンバーとしての地位を確立していることが分かります。今後も多くの人々に歌い継がれていくことでしょう。

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