雨の日のブルース

雨の日のブルース

「雨の日のブルース」は、歌手・渚ゆう子が1971年8月5日に発表した通算8枚目のシングル盤レコードです。彼女の代表的な楽曲の一つとして知られ、当時の日本の音楽シーンにおいて重要な位置を占めました。

制作背景

この楽曲は、作詞に橋本淳、作曲および編曲に筒美京平という布陣で制作されました。特に作詞家は、前作まで主に手掛けていた林春生から橋本淳へと変更されています。作曲を担当した筒美京平は、渚ゆう子の既発ヒット曲であり、ザ・ベンチャーズが作曲した「京都の恋」の成功を意識しつつメロディーを構築しました。しかし、編曲においては、一般的な歌謡曲やグループ・サウンズで多用されるエレキギターを前面に出すのではなく、ブラスセクション（ホーン）やストリングス（弦楽器）といったオーケストラの要素を積極的に導入し、独特の都会的で叙情的なサウンドを創り上げています。

商業的成功

本楽曲は発売されるやいなや大きな反響を呼び、オリコンチャートでは最高位で8位を記録するヒットとなりました。これは、1970年の大ヒット曲「京都の恋」から数えて、「京都慕情」「さいはて慕情」、そしてこの「雨の日のブルース」と、4作連続でオリコンチャートのTOP10圏内に入る快挙であり、当時の渚ゆう子の人気と実力を示す結果となりました。この成功は、筒美京平による楽曲の質の高さと、渚ゆう子の魅力的な歌唱が見事に融合した証と言えるでしょう。

収録曲

シングル盤には以下の2曲が収録されています。

A面：「雨の日のブルース」
B面：「忘れな草をこの胸に」

両曲とも、作詞は橋本淳、作曲および編曲は筒美京平が担当しています。

主な収録アルバム

「雨の日のブルース」は、発売以降、渚ゆう子の代表曲として多数のアルバムに収録されています。代表的なアルバムは以下の通りです。

『さいはて慕情』（#1）
『ゴールデン・ディスク』（#1）
『渚ゆう子 オン・ステージ』（#1）
『渚ゆう子 リサイタル』（#1）
『ナイト・クラブの渚ゆう子』（#1）
『GOLDEN☆BEST 渚ゆう子』（#1）
* 『ナイトクラブ・マニア／夢は夜ひらく』（#1）

また、B面の「忘れな草をこの胸に」は、『筒美京平 ULTRA BEST TRACKS〜EMI GROOVY GIRLS』などにも収録されています。

カバー

本楽曲は、発売された1971年に、女優・歌手の池玲子によってカバーされています。池玲子のバージョンは、同年発表されたアルバム『恍惚の世界』に収められました。

その他

本楽曲がリリースされた1971年は、日本のポピュラー音楽が多様化し、歌謡曲が大きな盛り上がりを見せていた時代です。筒美京平をはじめとする多くの作家が活躍し、今なお語り継がれる名曲が多数生まれました。

「雨の日のブルース」は、単なるヒット曲としてだけでなく、筒美京平のアレンジワークの一例としても評価される楽曲であり、当時の歌謡曲の豊かさを示す一曲と言えます。

（出典：当時のレコード、関連文献、各種データベース等を総合的に参照し記述しています。）

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