雨森清貞

雨森清貞は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将であり、浅井氏の家臣として知られています。通称は弥兵衛尉（やひょうえのじょう）で、近江国伊香郡雨森の雨森城を拠点としていました。

生涯については、詳しい資料が少ないため不明な点が多く残されています。しかし、浅井氏の旗頭として、また浅井久政の奏者としても活動していたことがわかっています。特に久政からは重用されていたと伝えられています。天文13年（1544年）には、久政の書状に名前が見られ、当時の雨森清貞の地位を示す資料となっています。

各地の合戦で活躍した記録はあるものの、具体的な戦績や事績についてはほとんどわかっていません。ただ、雨森清貞が最後まで浅井長政に忠義を尽くし、1573年の小谷城の戦いで奮戦したことは特筆に値します。この戦いでの活躍により、長政から感謝状を送られたという逸話も残っています。

しかし、小谷城の戦い後、浅井氏は織田信長によって滅ぼされ、雨森清貞もその運命を共にすることになります。討ち死にしたとも、落ち延びて逃亡したとも伝えられていますが、その後の消息は不明です。

また、羽柴秀吉（後の豊臣秀吉）に仕えた雨森清兵衛という人物がいますが、この清兵衛と雨森清貞が同一人物であるという説もあります。しかし、これを裏付ける確証はなく、真相は謎に包まれています。加えて、「清貞」という名前自体も確定的なものではなく、本当に「清貞」と名乗っていたかどうかについても不明です。

雨森清貞は、海北綱親、赤尾清綱と共に、「海赤雨の三将」と称されました。これは、三人の武将の名字から一文字ずつ取って名付けられたもので、彼らが浅井氏にとって重要な存在であったことを示しています。雨森清貞は、謎に包まれた部分が多いものの、浅井氏に忠義を尽くした武将として、その名を歴史に刻んでいます。

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