海北綱親

海北綱親

海北綱親（かいほう つなちか）は、戦国時代に浅井氏に仕えた武将です。浅井家の重臣として活躍し、「浅井三将」の一人に数えられています。

略歴

海北綱親は浅井家三代にわたり仕え、軍奉行を務めるなど、その家政・軍事両面で重きをなしました。特に赤尾清綱や雨森清貞と共に「浅井三将」と称され、浅井家を支える重要な役割を担っていました。

綱親の四男が近江国瓜生の地に帰農したという記録から、この地が綱親の本拠地であったと推測されています。彼は智勇兼備の武将として知られ、その実力は羽柴秀吉にも恐れられたと言われています。

天正元年（1573年）、小谷城が織田信長によって攻め落とされた際、綱親も討ち死にしたと伝えられています。

死亡時期に関する異説

綱親の死没時期については、長らく天正元年の織田氏との戦いにおける戦死が定説とされてきました。この説の根拠は、綱親の孫である友雪が描き、その子の友竹が賛を記した「友松夫妻像」における記述です。この記述は『本朝画史』にも採用され、広く信じられてきました。

しかし、郷土史家である海北顕英氏（友松の子孫）の研究によって、この説に異議が唱えられています。海北氏の研究によると、通説よりも40年以上前の天文4年（1535年）1月に出された敵側の感状に、浅井亮政が京極氏家臣・多賀貞隆の邸宅を夜襲した際に綱親が討ち死にを遂げたと記されているというのです。

この食い違いについて海北氏は、友竹が綱親と同じく善右衛門を名乗った綱親の嫡男とを混同したためではないかと推測しています。ただし、実際の史料には「海北善右衛門」を短縮した「海善」としか記述されておらず、これが綱親を指すものであるという明確な証拠はありません。

このように、海北綱親の死没時期については、現在もなお議論が続いています。今後の研究によって、新たな事実が明らかになる可能性も残されています。

脚注

出典

石田肇編集 『海北顕英 遺稿集』 私家版、1982年3月
『東浅井郡志』巻2（滋賀県東浅井郡教育会、1927年）

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