伊香郡

伊香郡（いかぐん）とは

伊香郡は、かつて近江国（現在の滋賀県）に存在した郡です。その歴史は古く、明治時代に行政区画として発足し、2010年に長浜市へ編入されるまで、地域の行政を担ってきました。

郡域

1879年（明治12年）に行政区画として発足した当時の郡域は、現在の長浜市の一部（高月町各町・木之本町各町・余呉町各町）にあたります。この地域は、豊かな自然に恵まれ、歴史的な名所も多く点在しています。

面積：284.33k㎡
人口：21,065人（平成22年国勢調査）

歴史

伊香郡は、近世までは「いかごぐん」とも呼ばれていました。郡名の由来は、『近江国風土記』逸文に記された「伊香小江」という記述に求められ、これは余呉湖を指すとされています。また、羽衣伝説に登場する羽衣を盗んだ人物の名も「伊香刀美」であることから、この地域には古くから「伊香」という名が深く根付いていたことがうかがえます。

近世以降の沿革

明治初期における伊香郡の支配状況は、「旧高旧領取調帳」に詳しく記録されています。以下に、その変遷をまとめます。

慶応4年（1868年）：大津代官所から大津裁判所、そして大津県の管轄へ。
明治2年（1869年）：版籍奉還により、吉田藩が豊橋藩と改称。
明治3年（1870年）：飯野藩領が大津県の管轄に。
明治4年（1871年）：廃藩置県により、彦根県、淀県、膳所県、豊橋県の管轄となるが、後に額田県、長浜県へと再編。
明治5年（1872年）：長浜県が犬上県と改称、その後滋賀県の管轄となる。
明治7年（1874年）：木之本村、西山村、赤尾村で一部が分立。
明治8年（1875年）：河合村の一部が分立。
明治12年（1879年）：郡区町村編制法施行により、行政区画としての伊香郡が発足。西浅井郡とともに「伊香・西浅井郡役所」が木之本村に設置。

町村制以降の沿革

明治22年（1889年）：町村制施行により、杉野村、高時村、北富永村、南富永村、古保利村、七郷村、木之本村、伊香具村、余呉村、丹生村、片岡村の11村が発足。
明治30年（1897年）：郡制施行により、伊香郡と西浅井郡が合併し、改めて伊香郡が発足。塩津村、永原村が本郡に所属。
大正7年（1918年）：木之本村が町制施行し、木之本町となる。
大正12年（1923年）：郡会が廃止。
大正15年（1926年）：郡役所が廃止。
昭和15年（1940年）：北富永村の一部が南富永村に編入。
昭和18年（1943年）：木之本町と伊香具村が合併し、改めて木之本町が発足。
昭和23年（1948年）：木之本町の一部が分立し、伊香具村が発足。
昭和29年（1954年）：高月町、木之本町が発足。余呉村が新設合併。
昭和30年（1955年）：七郷村が高月町に編入。塩津村と永原村が合併し、西浅井村が発足。
昭和31年（1956年）：木之本町の一部が高月町に編入。
昭和46年（1971年）：余呉村、西浅井村が町制施行。
* 平成22年（2010年）：高月町、木之本町、余呉町、西浅井町が長浜市に編入され、伊香郡が消滅。

行政

伊香郡の行政は、伊香・西浅井郡長、そして伊香郡長によって担われてきました。郡役所は、地域の行政の中心として機能していましたが、郡制の廃止とともにその役割を終えました。

現在

伊香郡は消滅しましたが、その名は地域に深く刻まれています。長浜市の一部となった旧伊香郡の地域は、豊かな自然と歴史的な遺産を活かし、観光地として、また人々の生活の場として、その魅力を放ち続けています。

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