雪が谷検車区上町班

雪が谷検車区上町班

概要

雪が谷検車区上町班は、東京都世田谷区にある東急電鉄の車両基地です。主に東急世田谷線を走る車両の管理・メンテナンスを担当しています。ここでは、列車検査や月検査といった日常的な点検が行われています。より詳細な検査が必要な重要部検査や車両全体をチェックする全般検査の際には、車体に関する作業は当検車区で行われますが、台車やパンタグラフなどの主要部品はトラック輸送により長津田車両工場へ送られ、そこで検査・整備が実施されています。最寄りの駅は世田谷線の上町駅です。

沿革

雪が谷検車区上町班は、直接的には1969年（昭和44年）に玉川線や砧線の廃止に伴って「上町検車区」として誕生しました。しかし、その歴史を辿ると、前身である大橋工場に行き着きます。

大橋工場・大橋検車区時代

東急電鉄の軌道線（玉川線、砧線、下高井戸線）の車両管理は、玉川電気鉄道（玉電）が開業した1907年（明治40年）3月以来、目黒区大橋にあった「大橋工場」で行われていました。この工場は長年にわたり、これらの軌道線の車両を支えてきました。

しかし、全鉄道線の保守体制見直しの流れの中で、1967年（昭和42年）12月16日、大橋工場は東急の全鉄道線の定期検査を担当する元住吉工場に統合される形で吸収合併されました。この際に、名称も「大橋検車区」へと変更されています。

玉川線と砧線が1969年（昭和44年）5月11日に廃止されると、その役目を終えた大橋検車区も同日をもって廃止されました。大橋検車区の敷地は、その後東急バスの大橋営業所として活用され、現在では首都高速道路の大橋ジャンクションの一部となっています。

上町検車区の発足と名称変更

大橋検車区の廃止と同時に、世田谷線（当時は下高井戸線と呼ばれていました）の車両管理を引き継ぐため、新たな車両基地として世田谷区に「上町検車区」が発足しました。これが現在の雪が谷検車区上町班の直接的な源流となります。

その後、組織再編に伴い所属や名称が変更されていきます。1977年（昭和52年）4月1日には長津田車両工場に統合され、「長津田車両工場上町班」となりました。さらに1983年（昭和58年）9月16日には、長津田車両工場から長津田検車区へと移管され、「長津田検車区上町班」と改称されました。そして、比較的近年の2000年（平成12年）8月6日、最終的に長津田検車区から雪が谷検車区へ移管されたことで、現在の名称である「雪が谷検車区上町班」が誕生しました。

機能と役割

雪が谷検車区上町班の主たる役割は、東急世田谷線の安定運行を支えることです。所属する300系車両の日常的な点検や整備を行い、安全基準を満たしているかを確認しています。具体的には、短い間隔で行われる列車検査や、より体系的な月検査などが実施されています。大規模な検査（重要部検査、全般検査）については、前述の通り、車両全体を基地内で扱うものの、特定の部品については長津田車両工場との連携が不可欠です。

所在地

この車両基地は東京都世田谷区に位置しており、東急世田谷線の沿線に広がっています。世田谷線の駅で言うと、上町駅が最も近く、徒歩圏内にあります。

配置車両

現在の配置車両

2024年現在、雪が谷検車区上町班には、東急世田谷線の主力車両である300系が配置されています。10編成20両が所属しており、世田谷線の全ての運行を担っています。

かつての配置車両

過去には、玉川線や下高井戸線などで活躍した以下の車両が、この基地やその前身施設に配置されていました。

デハ70形
デハ80形
* デハ150形

これらの車両は、現在の低床車両である300系とは異なる時代の世田谷線の歴史を彩りました。

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