雪割りの花

雪割りの花

『雪割りの花』（ゆきわりのはな）は、1998年11月26日にソニー・コンピュータエンタテインメントによってリリースされたPlayStation用のアドベンチャーゲームです。この作品は「やるドラ」シリーズとしては第4作目であり、企画や原作、さらにはアニメーション制作をProduction I.Gが手がけています。物語の舞台は冬の北海道の地方都市であり、象徴的な花として『ミスミソウ』が取り上げられています。特筆すべきは、他のシリーズ作品とは異なる独特な絵柄で、特に記憶喪失というテーマが強く表現されています。

ゲーム概要

本作では多くのバッドエンドが用意されており、初期のやるドラシリーズの中でも最多のバッドエンドが存在します。プレイヤーは主人公となり、彼の恋する女性が抱える記憶の喪失やそれに伴う悲劇を追いかけることになります。当初の仮題は『フォーシーズンズメモリー 冬 〜雪割りの花〜』であり、タイトルからも冬の情景が感じられます。

ストーリー

物語は、主人公が同じアパートに住むOLの桜木花織を密かに思い寄せるところから始まります。主人公は彼女が恋人の昂と親しくしている姿を目撃してしまい、大きな失望を味わいます。そんな中、花織が事故に遭い病院に運ばれ、意識不明の状態に。彼女は恋人の昂を失った悲しみから記憶を失ってしまい、主人公を昴だと誤解してしまいます。

この状況を利用しようとする主人公は、花織を傷つけたくない一心から、昴の代わりになることを決意します。最初は憧れの人の恋人になったことに喜びを感じますが、次第に彼自身の立場が偽りであることが明らかになり、心の中で葛藤が生じます。彼女との日々を通じて、主人公は自分が昴の影でしかないという現実に苛まれることになるのです。

登場人物

• - 主人公: 道南大学に通う20歳の大学生で、内向的な性格を持つ青年。
• - 桜木花織: 本作のヒロインで、物静かで清楚なOL。記憶喪失の影響で主人公を恋人だと思い込む。
• - 伊達昂: 花織の恋人で、事故死することで物語に大きな影響を与える。
• - 小林勇一: 主人公の幼馴染で、花織に恋心を持つ。
• - 小林美雪: 花織の親友で、彼女に対して複雑な感情を持つ。

エンディングと評価

本作には全37種類のエンディングがあり、プレイヤーはさまざまな結末を見ることができます。運命を分ける選択をしながら進む中で、各エンディングがどのように異なるかがプレイヤーの興味を引きます。『週刊ファミ通』のクロスレビューでは、30点という評価を受け、「シルバー殿堂」に入ることになりました。

移植版と関連商品

PlayStation Portable版では、ワイドスクリーン対応や高解像度フォントを採用し、CGギャラリーが強化されています。また、他のシリーズ作品の体験版が含まれている点も特徴です。さらには、ドラマCD『きくドラ』も関連商品としてリリースされ、異なる角度から物語に触れることが可能です。これにより、より深く『雪割りの花』の世界を楽しむことができるでしょう。

『雪割りの花』は、記憶喪失と恋愛の悲劇を巧みに描き出しており、深い感動を呼ぶ作品として今なお多くのファンに愛されています。

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