雪駄

雪駄とは

雪駄（せった）は、竹皮で編んだ草履の底に革を貼り付け、踵部分に尻鉄と呼ばれる金具を取り付けた、日本の伝統的な履物です。草履の一種でありながら、革底によって防水性を高め、尻鉄によって耐久性を向上させています。湿気を防ぐ効果もあり、機能的な履物として重宝されてきました。

雪駄の歴史

雪駄の起源には諸説ありますが、千利休が露地を歩く際に水で濡れないように、あるいは下駄では雪が詰まって歩きづらいため考案したという説が有力です。また、利休と親交のあった茶人・丿貫（へちかん）が考案したという説もあります。当初は、茶人や風流人の間で用いられることが多かった雪駄ですが、江戸時代には町奉行所の同心がばら緒の雪駄を履いていたことから、一般にも普及しました。この雪駄の音は「雪駄ちゃらちゃら」と表現され、同心たちの象徴的な存在でした。

雪駄の構造と変遷

現在の雪駄の踵部分は、馬蹄型やテクタ型が主流ですが、江戸時代にはベタガネ型（またはチャラガネ型）という金属製の尻鉄が用いられていました。このベタガネ型は、歩くたびにチャラチャラと音を立てるのが粋とされていましたが、音がうるさい、滑りやすい、傷つきやすいといった欠点も指摘されていました。そのため、長い年月をかけて改良が重ねられ、現在の馬蹄型やテクタ型へと進化しました。現在でも、一部の履物店ではベタガネ型雪駄を取り扱っています。

雪駄の生産と現状

かつては愛知県津島市が雪駄の主要な生産地でしたが、2010年に第一人者の職人が亡くなったため、製作所が閉鎖されました。これにより、今後の雪駄の生産シェアには変動が見られるかもしれません。
近年では、雪駄の表面を模したビニール素材に鼻緒を固定し、革や合成底を接着した、軽装草履や軽装履と呼ばれる履物も流通しています。しかし、これらの履物は雪駄よりもヘップサンダルに近く、主にカジュアルな洋装に合わせるためのものです。

大相撲における雪駄

大相撲の世界では、力士が雪駄を履くには一定の地位が必要です。三段目以上の力士のみが雪駄を履くことを許されており、序二段以下の力士は下駄を履くことになっています。さらに、三段目は素足にエナメル製の雪駄、幕下は黒足袋にエナメル製の雪駄、十両以上の関取は白足袋に畳敷きの雪駄を履くというように、階級によって雪駄の種類が異なります。

雪駄と健康

雪駄は、足全体を覆う靴とは異なり、開放的な構造をしています。そのため、子供が雪駄を履くことで足が幅広く成長し、体の安定につながると言われています。また、足指を圧迫しないため外反母趾になりにくく、足が蒸れにくいため水虫の予防にも効果的です。雪駄は、高温多湿な日本の気候に適した履物であると言えるでしょう。

まとめ

雪駄は、日本の伝統的な履物として、その歴史や機能性、文化的な側面において、様々な魅力を持つことがわかりました。現代においても、和装の履物としてだけでなく、健康的な履物として、その価値が見直されています。

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