露地

露地とは

露地（ろじ）は、茶室に隣接する庭園であり、茶庭（ちゃにわ）とも称されます。

概要

もともと「路地」と表記されていた露地は、江戸時代の茶書『南方録』などで「露地」として言及されるようになりました。この名称は『法華経』の「譬喩品」に由来しており、当時の茶道の発展が仏教の理論と深く関連していたことを示唆しています。以降、禅宗を重視する茶人たちによって広く受け入れられ、今日では茶庭の美しい呼称として定着しました。

発生と発展

露地は、詳しく言えば住宅地における簡易な庭園として発展したと考えられています。特に都市部の限られたスペースで、茶室と通じる細長い庭園である「通り庭」が形成され、この通路が後に露地へと発展したのです。『山上宗二記』には堺市に存在した武野紹鷗の四畳半の茶室についての図があり、専用の通路と庭が設けられていたことがわかります。また、奈良の塗師松屋松栄の茶室図にも飛び石や、待合の原型と思われる「シヨウギ（床几）」が描かれています。

千利休の時代には、茶室の設計がさらに進化します。この時期、数寄者たちは独自の建築デザインを追求し、いわゆる利休風茶室がこの影響を受けて形成されました。利休は晩年に、草庵風の茶のスタイルを完成させ、田園的な風情を重視し、茶室を農家の藁屋に、茶庭を山寺への道に見立てました。

また、躙口（にじりぐち）の起源に関する資料は限られていますが、利休の創作という主張には一定の根拠がないわけではありません。また、躙り口の導入により、以前は待合として利用されていた縁側が不要となり、独立した腰掛待合が設けられました。さらに、手水鉢に代わるつくばい（蹲踞）もこの時期に登場したとされます。

露地の植栽は、自然の美しさを強調するために人工の要素を避け、飛び石や手水鉢を庭の骨組みとして用います。後に石灯籠が夜の茶席の照明として追加され、既成のものが好まれる傾向が見られました。こうした茶室のスタイルは、広大な寺院や武家屋敷にも取り入れられ、現代に見られるような様式的な茶庭が形成されました。

このように、町衆によって育まれた茶の湯や茶庭は、利休の弟子で武家茶道の発展に寄与した古田織部や小堀遠州の手に引き継がれ、当初の様相から変化を遂げていくことになります。露地は大名の屋敷内に作られることが多く、独自の装飾や設計が施されていきました。もともと平庭であった露地には築山や池が設けられ、石灯籠が重要な景観要素として扱われるようになります。

織部の作品は、利休のそれよりも意図的な要素が強いとされ、織部は飛石や灯籠に対して大ぶりのものや、自然では見かけない異風の石を好んで使用しました。織部灯籠はそのデザインが彼のスタイルを代表する物として知られ、それがつくばいの鉢明かりとして利用される事例も見られます。

小堀遠州は、露地の植栽においても独自の美意識を反映させ、香りや彩りを楽しむ樹木を推奨しました。露地は茶室建築との一体性があり、茶人の好みを色濃く反映しているのです。

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