雪鯨橋

雪鯨橋（せつげいきょう）

雪鯨橋は、大阪府大阪市東淀川区瑞光2丁目の瑞光寺境内の弘済池に架かる、独特な歴史を持つ橋です。地元では親しみを込めて「くじら橋」とも呼ばれています。

概要

橋の長さは約6メートル、幅は約3メートル。その最大の特徴は、欄干にクジラの骨が使用されている点です。クジラの骨を構造材に使用した橋は、日本国内はおろか、世界的にも非常に珍しいと言われています。

最初の橋が架けられたのは18世紀半ば。当初は橋のすべての部分にクジラの骨が使われていたと伝えられていますが、天明年間（1780年代）頃からは、橋板が石造りに変更されました。

橋は老朽化により何度か架け替えられてきましたが、1945年（昭和20年）の太平洋戦争の戦火で焼失。その後29年間は橋のない状態が続きました。しかし、1974年（昭和49年）に、捕鯨地であり橋ともゆかりの深い和歌山県太地町の協力を得て、見事に復興を果たしました。その後も老朽化が進み、2006年（平成18年）11月には再度架け替えられています。

その文化的価値から、「浪速の名橋50選」に選定されているほか、「日本百名橋」の番外にも名を連ねています。

橋の由来

雪鯨橋の起源は、1756年（宝暦6年）に瑞光寺の4代目住職・潭住知忍（たんじゅうちにん）が、南紀太地浦（現在の和歌山県太地町）を訪れたことに遡ります。当時の太地は、捕鯨を生業とする村でしたが、不漁続きで食糧にも困窮していました。村の代表者は潭住に豊漁祈願を依頼しますが、潭住は「殺生は仏教の教えに背く」として一度は拒否します。しかし、村人の困窮ぶりを目の当たりにし、豊漁祈願を引き受けることにしました。

潭住が祈願を始めると、たちまち豊漁となり、村は危機を脱しました。後日、村人は瑞光寺を訪れ、感謝の意を込めて黄金30両とクジラの骨18本を寄進しました。潭住は、このクジラの骨を供養するため、橋を造ることを決意。これが雪鯨橋の始まりとなりました。

備考

東淀川区役所では、地域に伝わる民話を絵本にする事業を行っており、その一環として雪鯨橋を題材にした絵本『瑞光寺のくじら橋』（三善貞司制作指導・東淀川区役所編、ISBN 4-9901231-1-5）が2003年（平成15年）3月に発行されています。

近年では、雨風の影響により欄干の一部が崩れるなどの損傷が見られています。

所在地

〒533-0005 大阪府大阪市東淀川区瑞光2丁目2番2号 天然山瑞光寺境内

交通アクセス

大阪シティバス：瑞光2丁目バス停すぐ
京阪バス守口上新庄線 9A：瑞光2丁目バス停すぐ
阪急京都線：上新庄駅より東へ約500m
大阪市高速電気軌道今里筋線：瑞光四丁目駅より南西へ約700m
大阪市高速電気軌道今里筋線：だいどう豊里駅より北西へ約1km

関連項目

浪速の名橋50選

外部リンク

大阪市：20．瑞光（ずいこう）寺・雪鯨橋
大阪市：雪鯨橋　1基 (大阪市指定文化財)
雪鯨橋 ～ 大阪北 - 八百八橋.jp
CVV(Civil Veterans & Volunteers)サイト：雪鯨[[橋]](https://www.cvv.ne.jp/cgi-bin/geni2.pl?c=disp&id=00204)

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