太地町

太地町（たいじちょう）

和歌山県東[[牟婁郡]]に属する太地町は、紀伊半島の南東部に位置し、熊野灘に面した小さな町です。古くから捕鯨の町として全国的に知られ、日本の古式捕鯨発祥の地とも言われています。その歴史と文化は深く、町全体が海と那智勝浦町に囲まれているという地理的特徴も持っています。

地理

太地町は、熊野灘に突き出た二股の崎に位置しており、リアス式海岸が特徴的です。森浦湾と太地湾という二つの良港に恵まれ、古くから漁業が盛んに行われてきました。太地湾の奥には、太地町の中心集落である太地があり、漁港の町として発展しています。森浦湾の奥には、森浦集落がありますが、こちらは小規模なものです。

河川

町内には、与根子川が流れています。

海岸

熊野灘に面しており、美しい海岸線が広がっています。しかし、南海トラフ巨大地震が発生した際には、最大8mの津波が到達すると予想されており、防災対策が重要となっています。

気候

紀伊半島の南西部に位置しており、温暖な気候です。

人口

2020年の国勢調査では、人口性比が78.6となり、全国で最も女性の比率が高い市町村となりました。

歴史

太地町の歴史は、捕鯨の歴史とともにあります。1606年に網取法による組織的な古式捕鯨が始まり、その後、捕鯨技術の改良や捕鯨船の開発が進みました。1878年には、悪天候下の捕鯨で多くの犠牲者を出す「大背美流れ」という海難事故が発生し、捕鯨のあり方が見直されるきっかけとなりました。

古式捕鯨の始まり

太地における捕鯨は、1606年に和田頼元が外来の漁師とともに始めたのが起源とされています。和田一族を中心とした5つの刺手組が形成され、その後、網を使った捕鯨法が開発されました。この捕鯨の成功により、太地は大きな発展を遂げました。

近代捕鯨への移行

幕末には、アメリカの捕鯨船による乱獲で鯨の数が減少し、太地の捕鯨は一時衰退しました。しかし、日露戦争後に近代的な捕鯨基地として再興し、多くの船で賑わいました。また、南氷洋での母船式捕鯨にも多くの太地町出身者が活躍しました。

小型鯨類の捕獲

小型鯨類を対象とした沿岸捕鯨も盛んに行われ、特にゴンドウクジラの漁獲は多かったようです。しかし、国際的な規制が進み、1988年にはヒゲクジラの商業捕鯨が中断されました。現在は、ゴンドウクジラやツチクジラを対象とした小型捕鯨や、追い込み網漁によるイルカ漁が行われています。

イルカ追い込み漁を巡る議論

2009年に公開されたドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』により、太地町のイルカ追い込み漁が国際的な注目を集めました。太地町側は、この映画を科学的根拠に基づかない不当な行為だと批判しています。また、反[[捕鯨]]団体「シーシェパード」による妨害行為も問題となっています。

政治

町長

現在の町長は、三軒一高氏です。

議会

町議会の議員定数は11人です。

経済

太地町の経済は、漁業が中心です。特に捕鯨は町の重要な産業であり、税収の3割を占めています。近年は、観光振興にも力を入れており、「くじらの博物館」や「海洋水族館」などの施設を整備しています。

第一次産業

漁業が中心で、農業も行われています。

第二次産業

水産加工業などがあります。

第三次産業

観光業やサービス業が中心です。

施設

警察

和歌山県警察新宮警察署の管轄下にあり、太地警察官駐在所があります。また、反[[捕鯨]]団体対策として臨時交番が設置されています。

消防

太地町には消防本部がなく、那智勝浦町消防本部が管轄しています。

医療

町内には、病院や診療所があります。

郵便局

太地郵便局があります。

その他

太地町公民館などの集会施設があります。

姉妹都市

海外

オーストラリアのブルーム市、デンマークのクラクスヴィーク市と姉妹都市提携を結んでいます。

国内

長野県の白馬村と姉妹都市提携を結んでいます。

教育

中学校

太地町立太地中学校があります。

小学校

太地町立太地小学校があります。

交通

鉄道

JR紀勢本線が町内を通り、太地駅があります。

バス

太地町町営じゅんかんバスが運行しています。

道路

国道42号や県道が通っています。

観光

名所・旧跡

東明寺、飛鳥神社、和田頼元墓などの歴史的な名所があります。また、「くじら浜公園」や「太地町立くじらの博物館」などの観光スポットも人気です。

温泉

太地温泉や夏山温泉があります。

文化・名物

毎年8月15日には「くじら踊り」が行われ、太地浦では古式捕鯨を再現する「太地浦勇魚祭」が開催されます。捕鯨文化は、町のアイデンティティとして深く根付いています。

出身関連著名人

洋画家の石垣栄太郎、女優の太地喜和子などが太地町出身です。

太地町を題材とした作品

津本陽の小説『深重の海』、C・W・ニコルの小説『勇魚』などがあります。

脚注

注釈

出典

参考文献

関連項目

外部リンク

太地町公式サイトや関連団体のサイトがリンクされています。

太地町は、捕鯨の歴史と文化を色濃く残す町でありながら、現代的な観光振興にも力を入れています。美しい自然と独自の文化を体験しに、ぜひ一度訪れてみてください。

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