雲嶺

雲嶺（うんれい）

雲嶺は、中国南西部を横断する広大な山脈であり、横断山脈の中でも特に幅広く、広大な面積を占めています。この山脈は、ユネスコの世界遺産である「三江併流」の構成資産にも含まれており、その景観の美しさと生物多様性の豊かさで知られています。

地理的特徴

雲嶺山脈は、北は四川省とチベット自治区の境界付近から始まり、雲南省へと続いています。北部は比較的緩やかな高原地帯であり、その間を金沙江が流れています。山脈の西側は芒康山、東側は沙魯里山と呼ばれ、これらを総称して雲嶺と呼びます。

雲南省徳欽県東南部から山脈は3列に分かれ、西側には瀾滄江、東側には支巴洛河、臘普河の渓谷が形成されています。北部は幅が狭く、南に向かうにつれて徐々に幅が広くなっています。この地域の地層は、主に中生代に形成された赤色の岩石で構成されています。

金沙江が北に分岐する地点からは、剣川の広い谷を経て、麗江地区西部や大理白族自治州中西部の山地へと続いています。この地域の地層も古生代、中生代の赤色の岩石が主です。

雲嶺の南端、巍山県、弥渡県以南では、標高が3000mを下回り、この一帯の山地も雲嶺と呼ばれます。この地域では、山脈は2列に分かれ、東側は哀牢山、西側は無量山となっています。また、瀾滄江と金沙江の分水嶺としての役割も果たしています。

標高

雲嶺山脈は、北部と南部で標高に大きな差があります。北部の山地は平均標高が約4500mと高く、白馬雪山（5429m）、甲午雪山（5534m）、察里雪山（5534m）、哈巴雪山（5396m）、玉龍雪山（5596m）など、5000m級の高峰が連なっています。

一方、南部の山地は標高が低く、4500m以下の山が多く見られます。老君山、点蒼山、雪盤山などの名山もこの地域に位置しています。

気候

雲嶺山脈は、北部と南部で気候が大きく異なります。北部の山頂部は暖温帯、温帯、または冷帯に属し、河谷は中亜熱帯、北亜熱帯の気候となっています。

南部の気候は、熱帯モンスーン気候と亜熱帯気候が混在しており、常緑広葉樹林が広がっています。谷地は北熱帯モンスーン気候と熱帯雨林気候に属しています。

その他の特徴

雲嶺山脈一帯は、中国国家級自然保護区に指定されており、貴重な動植物が生息しています。白馬雪山、蒼山、洱海、哀牢山、無量山などが保護区に含まれており、生態系の保全が図られています。

また、雲嶺山脈には、如雲龍ダム、蘭坪ダム、維西ダム、石鼓ダム、洱源ダム、剣川ダム、寧蒗ダム、永寧ダムなど、多くの堰堤が建設されており、水資源の利用も行われています。

雲嶺山脈は、その多様な地形、気候、生態系を持つ、中国西南部の重要な自然地域であり、世界遺産としてもその価値が認められています。

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