雲興寺

雲興寺（うんこうじ）

愛知県瀬戸市白坂町に位置する雲興寺は、大龍山と号する曹洞宗の寺院です。1384年、天鷹祖祐禅師によって開創され、尾張地方を代表する曹洞宗寺院の一つとして知られています。

歴史

1384年、天鷹祖祐禅師が尾張国山田郡小坂に寺を開いたのが始まりです。その後、足利義持や地元豪族の山口氏などの寄進により、七堂伽藍が建立されました。八世住持の大雲永瑞が織田信秀の伯父であったことから、織田家の庇護を受け、その後も豊臣秀吉や尾張徳川家から手厚い保護を受けました。現在、本堂には彼らの位牌が祀られています。

1535年には火災で全山が焼失しましたが、織田信秀の支援により再建されました。1629年には、正眼寺とともに尾張僧録に任じられ、尾張における曹洞宗の中心的な寺院としての地位を確立しました。

1723年には末寺であった万松寺が離脱しましたが、その後も地域からの信仰を集め続けました。2005年には、文化7年（1810年）に建立された鐘楼が国の登録有形文化財に登録されています。

伽藍

本堂や鐘楼の屋根には、瀬戸の特産品である赤津焼の瓦が使用されており、その美しい景観は訪れる人々を魅了します。

性空山神の伝説

雲興寺は、盗難除けにご利益があることでも有名です。その由来は、性空山神の伝説にあります。伝説によると、応永12年（1405年）の深夜、雲興寺の二世である天先祖命が坐禅をしていると、鬼神が現れました。天先祖命は鬼神を諭し、仏門に帰依させた上で「性空上座」という号を与えました。鬼神はその後、雲興寺の守護神となり、人々の病難、火難、盗難から守ることを誓い、門前の盤石の中に姿を消したとされています。この盤石は「性空石」と呼ばれ、現在でも信仰を集めています。

毎年4月24日、25日には、盗難除けを祈願する「性空祭」が開催されます。この祭りには、多くの参拝者が訪れ、賑わいを見せています。

交通手段

雲興寺へのアクセスは、名鉄瀬戸線「尾張瀬戸駅」から名鉄バス赤津行に乗車し、「赤津」バス停で下車後、徒歩約10分です。かつては寺の駐車場までバスが乗り入れていましたが、現在は祭りの時のみ臨時で延長運行されます。また、愛知県道33号瀬戸設楽線沿いに位置しています。

参道入口には参拝者用の駐車場がありますが、猿投山の登山口が近いこともあり、登山者による無断駐車が問題となっています。

文化財

鐘楼：文化7年（1810年）に建立された、入母屋造、桟瓦葺、袴腰付の建物で、国の登録有形文化財に指定されています。

参考文献

横山住雄『尾張雲興寺史』（雲興寺、1982年）
『尾張名所図会』 第三巻、（雲興寺、1844年）

関連情報

愛知学院大学図書館情報センター（雲興寺文書を所蔵）

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