零羊崎神社 (石巻市湊)

零羊崎神社の概要

零羊崎神社（ひつじさきじんじゃ）は、宮城県石巻市湊に位置する神社で、地元では豊玉彦命を祀る場所として知られています。この神社は、式内社に比定される神社であり、旧社格は県社です。神社は北上川の左岸に位置し、標高約250メートルの牧山の山頂に鎮座しています。

祭神の特徴

この神社の祭神である豊玉彦命は、海上の守護神として知られており、漁業や航海の安全を祈願するために多くの信者が訪れています。海と密接な関わりを持つ地域の人々によって、豊玉彦命は特に重んじられています。

創建の歴史と由来

創建の年代は定かではありませんが、安永元年（1772年）の『封内風土記 巻之13』においては、応神天皇の命により西国からこの地に鎮座したと記されています。由緒書によると、応神天皇2年に神功皇后の命によって「涸満瓊別神」という神名を賜り、鎮護の神として祀られた経緯があります。この神名は神社名の「零羊崎」にも関連があり、徐々に「牧山」と改称されました。

名神大社論争

江戸時代には、「零羊崎神社」として名神大社に比定されました。『日本三代実録』や『延喜式神名帳』などの歴史的資料では、当社の神階が従四位下に昇叙されたことが記されています。しかし、その後の史料にはこの神社の名が登場せず、論争が生じました。当社は藤原清衡や葛西氏から神宝などを寄進されており、また伊達家からも寄進を受けたことが記録されています。

資料から読み解く神社の変遷

享保4年（1719年）発表の『奥羽観蹟聞老志』では、牧山が古の零羊崎神社であると記されています。さらに、境内の社頭で行われる祭りには多くの人が集まり、市も立つ賑わいを見せていたとされています。一方で、長禅寺と関連した記述も多く、神社の変遷を辿る手がかりが得られます。

明治以降の変化

明治時代に入ると、神仏分離令により牧山観音は「零羊崎神社」と改称されました。また、明治7年（1874年）には社格が郷社となり、その後神饌幣帛料供進社に指定されました。昭和に入ると、社殿などの改築や新築が行われ、現在のような形に整備されています。

社殿と文化財

社殿は拝殿、幣殿、本殿からなる構成で、拝殿は鷲峰山長禅寺の本堂を改築したものである。拝殿内には文化財として認定されている大絵馬が奉納されており、地域文化の重要な一部です。また、拝殿の右側には1814年に造られた石造相輪塔があります。

境内の構成と習慣

境内には摂末社も多く、三吉神社や道祖神社、古婦木稲荷神社が鎮座しています。特に三吉神社は五穀豊穣や海上安全を願う神として信仰されています。神社の南側には一の鳥居があり、参道はあちこちに続いています。

地元の人々との繋がり

現在でも地域の人々に深く根付いた神社であり、祭りなどの行事では多くの人々が集まります。東日本大震災の際には避難所として機能したこともあり、地域における存在意義は非常に大きいです。これからも地元の方々との関係を深め、守られ続けることでしょう。

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