電気通信事業

電気通信事業とは

電気通信事業は、電気通信事業法第2条に定められた電気通信役務を提供する事業のことです。具体的には、有線や無線などの電磁的な方法で、符号、音響、映像を伝送・受信する事業を指します。

電気通信事業の定義

電気通信事業法における電気通信事業は、以下の要素によって定義されています。

電気通信: 有線、無線などの電磁的方式により、符号、音響、映像を送り、伝え、または受け取ること。
電気通信設備: 電気通信を行うための機械、器具、線路などの電気的な設備。
電気通信役務: 電気通信設備を用いて他人の通信を媒介したり、電気通信設備を他人の通信のために利用させること。
電気通信事業: 電気通信役務を他人の需要に応じて提供する事業（放送法に規定される放送局設備供給役務に係る事業を除く）。
電気通信事業者: 電気通信事業を行うために登録または届出を行った者。
電気通信業務: 電気通信事業者が提供する電気通信役務の業務。

事業者の区分と登録・届出制度

2004年4月1日より、従来の第一種・第二種という区分が廃止され、許可制から登録・届出制に移行しました。

届出が必要な事業者

以下の2つの要件を満たす電気通信事業者は、総務大臣への届出が必要です。

端末系伝送路設備が一つの市町村（特別区や政令指定都市では区）の区域内に限られること。
中継系伝送路設備が一つの都道府県の区域内に限られること。

これらの要件を満たす事業者は、伝送路設備を自社で設置するものの、事業規模が比較的限定的であるとみなされます。

登録が必要な事業者

上記の届出対象となる要件を超える伝送路設備を設置して事業を行う場合は、総務大臣への登録が必要です。これは、より広範囲なネットワークを構築し、より多くの利用者にサービスを提供する事業者が対象となります。

また、一定規模以上の伝送交換設備や線路設備を持つ事業者は、電気通信主任技術者を選任し、工事・維持・運用を監督させる義務があります。これらの技術者は、伝送交換主任技術者資格証や線路主任技術者資格証を持つ必要があります。

指定電気通信設備

特定の地域において、同種の伝送路設備の回線数が多い「指定電気通信設備」に指定された設備は、他の電気通信事業者への開放が義務付けられています。これは、特定の事業者が市場を独占することを防ぎ、競争を促進するための規制です。

指定電気通信設備には、固定電話に関する第一種と携帯電話に関する第二種があり、それぞれ開放義務が課せられる割合が異なります。具体的には、接続時の技術条件やアクセスチャージなどを定めた接続約款を作成し、総務大臣の認可を得る必要があります。

第一種：50%以上のシェアを持つ設備
第二種：10%以上のシェアを持つ設備

従前の区分（第一種・第二種）

電気通信事業法改正前には、事業者は伝送路設備を保有するか否かで、第一種電気通信事業と第二種電気通信事業に区分されていました。

第一種電気通信事業

第一種電気通信事業は、伝送路設備、伝送交換設備、付帯設備を自社で設置し、利用者のために提供する事業でした。この事業を行うには総務大臣の許可が必要で、安定した事業運営が求められていました。主な事業者としては、NTT、KDDI、ソフトバンクテレコム、ポケットベル事業者、CATV事業者などが挙げられます。

第一種電気通信事業者は、伝送交換設備については第一種伝送交換主任技術者資格証、伝送路設備については線路主任技術者資格証を持つ技術者を選任する必要がありました。

第二種電気通信事業

第二種電気通信事業は、第一種電気通信事業者が設置した伝送路設備を利用して、インターネットサーバーなどのソフトウェア的なサービスを利用者に提供する事業でした。第二種電気通信事業は、事業規模に応じてさらに特別第二種電気通信事業と一般第二種電気通信事業に分けられていました。

特別第二種電気通信事業: 一定規模を超える事業を行うには総務大臣の登録が必要で、伝送交換設備に関して第二種伝送交換主任技術者資格証を持つ技術者の選任が必要でした。
一般第二種電気通信事業: 一定規模以下の事業を行うには、総務大臣への届出が必要でしたが、比較的容易に事業を開始できました。

まとめ

電気通信事業は、社会のインフラとして重要な役割を担っており、その規制は、技術の進歩や社会の変化に対応して常に変化しています。この解説を通して、電気通信事業の基本的な仕組みを理解し、関連する法規制や事業者の区分について知識を深めていただければ幸いです。

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