アクセスチャージ

アクセスチャージとは



アクセスチャージとは、電気通信事業者が、自社の加入者から通信サービスの料金を徴収する際に、他の電気通信事業者の通信機能を利用するために支払う料金のことです。これは、事業者間精算料金とも呼ばれ、電気通信サービスの提供において不可欠な要素となっています。アクセスチャージには、接続形態と卸提供形態の2つがあります。

アクセスチャージの仕組み



電気通信事業者は、自社で全ての通信設備を保有しているわけではありません。そのため、他の事業者の通信網を利用する必要があります。例えば、ある携帯電話会社Aの加入者が、別の携帯電話会社Bの加入者に電話をかける場合、会社Aは会社Bの通信網を使用することになります。この際に、会社Aが会社Bに支払う料金がアクセスチャージです。

第一種指定電気通信設備



アクセスチャージの算定には、第一種指定電気通信設備が深く関わっています。これは、他の事業者の事業展開に不可欠な設備として、総務大臣が指定したものです。固定電話では都道府県ごとの総回線数の50%超、携帯電話では総回線数の25%超が該当します。これらの設備を持つ事業者は、相互接続のための条件や料金を定めた接続約款を作成・公開し、認可を得る必要があります。これは「ドミナント規制」と呼ばれ、競争の公平性を保つために重要な役割を果たしています。

アクセスチャージの算定方法



アクセスチャージの算定方式は、競争中立性を確保するために、様々な要素を考慮して設定されます。総務省令で定める機能単位で接続料が設定され、回線容量、回線数、通信回数、通信時間、距離などが単位として用いられます。制度上、一種設備管理運営費の発生状況を考慮し、社会的経済的に合理的なものとなるように設定されることが求められています。

アクセスチャージの表示方法



一般的には、通話1回ごとに発生する料金(セットアップ料金)と、通話時間1秒ごとに発生する従量制料金を合計した「3分何円」というモデル料金で紹介されることが多いです。しかし、実際のアクセスチャージの金額は、電気通信事業者間の相互接続協定の中で個別に定められ、原則として非公開とされています。

アクセスチャージの支払い



中継電話の場合、発信側と着信側の双方でNTT東日本やNTT西日本の電話回線を利用する必要があるため、中継電話事業者はNTT東西にアクセスチャージを支払います。また、直収電話携帯電話でも同様の仕組みでアクセスチャージが発生します。例えば、auユーザーがNTTドコモ携帯電話に電話をかける場合、au側(KDDI)がドコモの網を利用するため、ドコモにアクセスチャージを支払います。

PHSからの発信では、電話先が携帯電話以外の場合、1通話ごとにアクセスチャージが発生します。また、一部の直収電話への発信では、通常の通話料金に加えてアクセスチャージが徴収されるケースもあります。

ISDNと通常の固定電話(アナログ式)ではアクセスチャージの金額が異なり、相互接続を行うレベルによっても金額が変動します。

アクセスチャージに関連する事件



2022年6月には、NTTドコモの定額かけ放題プランを悪用し、組織的にアクセスチャージを詐取したとして、通信事業会社の社長らが逮捕される事件が発生しました。これは、アクセスチャージの仕組みが悪用される可能性を示唆する事例として、注目を集めました。

接続制度の変遷



アクセスチャージは、1994年に中継電話サービスでエンドツーエンド料金が導入された際に本格的に導入されました。1997年には、全ての第一種電気通信事業者が接続請求に応じる義務を負うことになり、2000年には長期増分費用方式が導入されました。これらの変遷は、電気通信市場の競争促進と公正な料金体系の確立を目指したものです。

まとめ



アクセスチャージは、電気通信事業者が相互にネットワークを利用するための重要な料金制度です。その算定方法や支払い構造は複雑ですが、電気通信サービスの円滑な提供と、事業者間の公正な競争を支える上で不可欠な要素となっています。今後の技術発展や市場の変化に伴い、アクセスチャージの制度も変化していくことが予想されます。



参考文献



総務省 接続料の算定に関する研究会

関連項目



CAコード
* 単位料金区域


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