電気電子機器廃棄物

電気電子機器廃棄物とその現状

電気電子機器廃棄物は、電気製品や電子機器から生じる廃棄物であり、広く「電子ごみ」と呼ばれています。この問題は、世界中で年間約5000万トンに達する電子廃棄物が発生している現状に起因しています。特に日米欧では、国内の処理能力を超えて廃棄物が発生し、アフリカ、中国、インド、ブラジルなどに輸出されていますが、輸出された廃棄物のリサイクルが適切に行われているのは約20%程度にとどまります。これにより、環境に深刻な影響を与えていることが懸念されています。

有害物質と環境問題

電気・電子機器の廃棄物には、鉛やカドミウム、水銀などの有害物質が含まれていることがあります。そのため、急増するこの廃棄物は近年、環境問題の重要なテーマとして捉えられています。特に発展途上国では、適切な処理が行われず、これらの有害物質が自然環境や住民の健康に悪影響を与えるケースが増加しています。例えば、アフリカのガーナ・アクラには「電子廃棄物の墓場」と称されるアグボグブロシー地区があり、ここでは捨てられた電子廃棄物から金属を不適切に回収しているため、多くの健康被害が報告されています。

野焼きと健康リスク

途上国で行われる電子廃棄物の野焼きは、金属の回収手段として用いられていますが、これに従事する労働者の健康を脅かしています。発展途上国では、労働者が有害物質にさらされることで、様々な健康問題が生じており、2019年には国際連合の報告書でもこの問題が取り上げられました。特にリサイクル村として知られるベトナムのミーハウ地区では、取得した有価物の代償として、周囲の環境が鉛やダイオキシンなどで汚染されている状況があります。

日本の電子ごみ問題

日本では、家電リサイクル法の存在があり、一部の中古家電が途上国に輸出されているため、このE-waste問題が悪化しているとも指摘されています。有害な廃棄物の輸出は、国際的な合意であるバーゼル条約によって制限されていますが、不正な処理や他の品目に紛れての輸出が依然として行われているのが実情です。日本が2018年に雑品スクラップの輸出を原則禁止した後、中国や東南アジア諸国でも受け入れ規制が強化されました。

輸出の現状と対策

2022年には、マレーシアへの電子ごみの不正輸出を試みた業者が逮捕される事件もあり、急務として取り組むべき問題であることが示されています。これらの現状を受け、今後の適切なリサイクル体制と法規制の強化が求められています。多方面からアプローチを続けながら、持続可能な社会を目指す取り組みを進める必要があります。

まとめ

電子廃棄物の増加は、環境問題や労働者の健康に深刻な影響を及ぼしています。国際的な対策や法規制の強化、適切なリサイクルの導入が急務であり、持続可能な解決策を見出すことが求められています。

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