霧笛が俺を呼んでいる (映画)

映画『霧笛が俺を呼んでいる』について

『霧笛が俺を呼んでいる』は、1960年7月9日に公開された日活のアクション映画です。主演は赤木圭一郎、監督は山崎徳次郎が務めました。本作は、赤木圭一郎の代表作の一つとして知られており、当時の日活が得意とした「無国籍アクション」の要素を取り入れた作品としても評価されています。舞台は港町・横浜で、船乗りを主人公にした「マドロスもの」と呼ばれるジャンルに属しています。

映画は「サスペンスタッチの異色アクション」や「ミステリー・ロマン」として宣伝され、公開当時大きな話題を呼びました。赤木圭一郎が歌う主題歌『霧笛が俺を呼んでいる』もヒットしました。また、本作は吉永小百合の初期の出演作の一つとしても注目されています。吉永は本作で「新人」としてクレジットされていますが、彼女にとって4作目の映画出演であり、日活専属としては2作目にあたります。

撮影は、横浜港、バンドホテル、港の見える丘公園、社会保険横浜中央病院、横浜海岸教会前の路上など、横浜市内の各所で行われたほか、三浦市内の海岸、東京の日活国際会館などでもロケーション撮影が行われました。劇中で主人公が愛用する自動車はオースチン・ヒーリー100です。

ストーリー

物語は、少年院上がりの一等航海士・杉が、船の故障で横浜港に足止めされるところから始まります。杉は、休暇を利用して親友の浜崎のアパートを訪ねますが、管理人に浜崎が自殺したと告げられます。浜崎の恋人でクラブ歌手の美也子から、浜崎はロープにおもりをつけて海に飛び込んだと聞いた杉は、浜崎の死に不審を抱きます。さらに、顔なじみの刑事・森本から浜崎がヘロインの密輸に関わっていたことを知らされます。

浜崎が出入りしていたバーのホステス・サリーが、杉に浜崎の死の真相を知っていると告げた直後に殺害され、事件は複雑化します。サリーの同僚・和子も何者かに命を狙われ、杉が彼女を救出します。一連の出来事に不審を抱いた杉は、和子から真相を聞き出します。浜崎は捜査の手を逃れるため、バーの経営者でギャングのボス・渡辺と共謀し、サリーの恋人であるジミーを身代わりに殺害し、自らは死んだように見せかけていたのです。

杉は、和子を勤務先の船に、美也子を滞在先のホテルに匿い、渡辺の経営するバーに乗り込みます。渡辺は浜崎が生きていることをあっさりと告げます。杉は渡辺の子分に連れられて、浜崎の隠れ家へ向かいます。浜崎は杉が美也子と会ったことを責め、杉を密輸の仲間に誘いますが、杉は親友の変貌に失望し、その場を立ち去ります。

杉が渡辺とグルになり美也子を拉致したと誤解した浜崎は、ホテルの杉の部屋に乗り込みます。杉は美也子がナイトクラブに出勤していることを伝え、誤解を解こうとしますが、そこへ浜崎の妹・ゆき子が病院を抜け出して現れます。妹に合わせる顔のない浜崎は身を隠します。ゆき子は杉との会話から兄が生きていることを知り、自首してほしいと懇願します。

やがて、刑事の森本が杉の勤務する船に現れ、浜崎のせいで若いヘロイン中毒者が増えていると告げ、浜崎の居場所を明かすよう迫ります。森本は最初から浜崎が生きていることを知っており、捜査のために杉を利用していたのでした。

杉と美也子は森本ら刑事と共に、浜崎が隠れている高層ホテルへ乗り込みます。浜崎はヘロインの売上金を持って国外逃亡を図ろうとし、ホテルの窓から逃げようとしますが、追いつかれ逮捕されます。そこへ売上金を取り戻そうとする渡辺の一味が現れ、三つ巴の銃撃戦となります。混乱の中、浜崎は再び逃げようとしますが、杉に撃たれ、非常階段から転落します。

事件解決後、杉は船で旅立ちます。美也子が港に見送りに来ますが、杉は「当分日本に戻ることはない」と告げて、船に乗り込みます。

キャスト

杉敬一：赤木圭一郎
美也子：芦川いづみ
浜崎守雄：葉山良二
森本（刑事）：西村晃
浜崎ゆき子：吉永小百合（新人）
和子（バー「35ノット」のホステス）：堀恭子
渡辺（「35ノット」の経営者・ギャングのボス）：内田良平

スタッフ

監督：山崎徳次郎
企画：水の江瀧子
脚本：熊井啓
撮影：姫田真佐久
音楽：山本直純
* 主題歌：赤木圭一郎『霧笛が俺を呼んでいる』


本作は、アクション、サスペンス、ロマンスといった要素が巧みに組み合わさったエンターテイメント作品として、現在でも多くのファンに愛されています。

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