横浜海岸教会とは？意味をやさしく解説

日本基督公会（にほんキリストこうかい）

日本基督公会は、1872年（明治5年）に横浜で設立されたプロテスタント教会です。現在の日本キリスト教会・横浜海岸教会の前身にあたります。創立当初は「横浜公会」と呼ばれていました。

設立の経緯と理念

1861年に来日した改革派宣教師ジェームス・ハミルトン・バラは、1868年に居留地167番に小さな会堂を建設しました。この会堂は「聖なる犬小屋」と呼ばれていましたが、1872年、この場所で横浜公会が設立されました。

公会は、特定の宗派に属さず、イエス・キリストの名によって建てられるという理念を掲げました。「公会条例第二条例」には、「聖書を標準とし、信じ、勉める者は皆キリストの僕であり兄弟である」と記されています。この理念に基づき、日本基督公会と名付けられました。

歴史

初期

設立時、日本人信徒は11名で、青年と中年の男性で構成されていました。J・H・バラが仮牧師となり、押川方義らが長老に任命されました。1873年には東京に姉妹教会が設立されました。

1874年、公会は福音同盟会の9ヶ条を信仰箇条としました。しかし、福音同盟会の9ヶ条は超教派的な基準であり、教会の信仰箇条として作られたものではありませんでした。このことから、日本の長老教会の簡易信条主義が始まったとされています。

公会主義と合同運動

日本基督公会の流れは、日本の長老派教会や教会合同へと受け継がれました。公会の理念とされた合同は「公会主義」と呼ばれ、合同教会である日本基督教団の理想とされました。しかし、公会主義には批判的な意見もあり、渡辺信夫は公会主義の存在を否定しています。また、長老制を採用する教会同士であったことから、公会主義を強調するのは無理があるという指摘もあります。

日本基督公会は1877年に日本基督一致教会に継承されました。しかし、一致教会は簡易信条主義ではなく、プロテスタントの信仰告白を持つ教会でした。

横浜海岸教会へ

1875年に教会堂が建設され、教会は横浜海岸教会と改称されました。1923年の関東大震災で教会堂が消失しましたが、1933年に再建されました。戦後、進駐軍による集会にも使用され、1949年には日本基督長老教会を設立しましたが、翌年解散しました。その後、横浜海岸教会は日本キリスト教会に所属し、現在に至っています。

2015年には大規模な改修工事が行われ、現在は毎月1回一般公開されています。

歴代牧師

仮牧師：ジェームス・バラ
初代：稲垣信
第2代：細川瀏（1896-1898）
第3代：笹倉弥吉
第4代：渡辺連平
第5代：井上平三郎
第6代：林嗣夫
第7代：岡田貴美子
第8代：久保義宣
第9代：上山修平

主な出身者

奥野昌綱
小川義綏
植村正久（日本基督一致教会の指導者）
押川方義（東北学院創設者、日本基督一致教会指導者）
本多庸一（青山学院2代学院長、メソジスト監督教会指導者）
井深梶之助（明治学院2代総理、日本基督一致教会指導者）
伊東友賢
鈴木親長

交通アクセス

横浜高速鉄道みなとみらい線：日本大通り駅下車、徒歩約3分
東日本旅客鉄道（JR）
根岸線：関内駅下車、徒歩10分
根岸線：石川町駅下車、徒歩15分

脚注

参考文献

『明治初期神戸伝道とD・C・グリーン』茂義樹、新教出版社
『日本における福音派の歴史』中村敏、いのちのことば社
『日本キリスト教宣教史』中村敏、いのちのことば社
『それでも主の民として』いのちのことば社

横浜海岸教会