凍雨

凍雨（とうう）とは

凍雨は、主に球状の氷の粒が降る特異な気象現象です。この現象は、雨粒や部分的に融解した雪が冷たい空気層を通過する際に再び凍結することで生じます。凍雨の形状は通常、透明または半透明の小さな氷の粒で、直径が約1〜4ミリメートルであることが多いです。直径5ミリメートル以上の場合は雹（ひょう）として区別されます。

特徴と性状

凍雨の氷の粒はしばしば小さなガラス玉のように見え、形状はほとんどが球形ですが、時には突起がついた不定形や円錐形のものも観察されることがあります。突起の形成は、凍結過程で内部の液体水が弾けることによって起こります。凍雨に由来する氷の粒は、完全に凍結していない場合もあり、その中に液体水が残っていることがあるため、非常に密度が高いことが特徴です。一般に凍雨の比重は氷の比重0.92に近く、液体を含む場合はさらに重くなることがあります。地面に落ちると弾む音を発するのもこの特徴です。

凍雨は高層雲や乱層雲から降下する非しゅう雨性の降水で、雪や霰（あられ）などと比較することができます。雪霰はほとんどが白色で脆く、氷霰は同様のサイズながら層雲から降るしゅう雨性の降水であるなど、それぞれの降水形式が持つ特性によって区別されます。特に雹は5ミリメートルを超える大きさであるため、凍雨とは明確に異なるカテゴリに入ります。

凍雨の形成メカニズム

凍雨の発生には気温の逆転層が関与しており、雨粒が0℃以下の層を通過し凍結するプロセスが求められます。一方、雪片が一時的に0℃以上の層を通り融解し、再度0℃以下の層を通過して凍結することもありますが、その頻度は少ないです。このような現象は、上空に暖かい空気層があるときに起きやすく、特に上空の暖気層に対して地表付近に冷却された空気層が厚い場合に見られます。

アメリカやカナダで特に多く観測される理由は、温暖前線の影響が大きく、地形の特徴も影響を与えています。このような条件下で、過冷却状態の雨粒が着氷性の雨として降り、地面に着いたときにすぐに凍結し凍雨となります。

日本国内での凍雨の発生はまれですが、中部地方の北や関東地方の北側の平野部など、特定の地域に偏っている傾向があります。過去の主な発生例としては、2005年に北海道で、2016年に関東平野北部で見られました。

観測と記録

日本において、天気予報における凍雨は、気象条件によって「雪」として扱われます。観測ポイントでは大気現象の一つとして記録され、霰や雹といった他の降水と区別されます。観測装置による自動記録が稼働している場合には、大気現象としての凍雨は記録されないこともあります。飛行機の気象通報式においては、凍雨は「降水現象」の中でPLとして示されるなど、様々な方式で扱われています。

言語的表現

「氷雨」という言葉は、凍雨を指す際に用いられることが多く、それにより冷たい雨や冬の雨のイメージを持たれています。国際的な日常用語としては、「ice pellets」が凍雨を意味し、アメリカ[[英語]]では「sleet」を指すことが一般的です。イギリス[[英語]]においては「grains of ice」が使われ、sleetは霙を意味することに注意が必要です。

以上のように、凍雨は独特の気象現象として多くの違いと特徴を持っています。今後もその観測や理解の進展が期待されます。

もう一度検索