露営の歌

「露営の歌」についての詳細

「露営の歌」（ろえいのうた）は、1937年9月に日本コロムビアから発表された軍歌です。この曲は当初はB面としてリリースされたものの、すぐにA面の「進軍の歌」を超える人気を獲得しました。意外にも、半年間で60万枚という驚異的な売上を記録し、当時の流行歌の一つとして名を馳せました。加えて、「露営の歌」は西條八十が作詞した「さくら進軍」との前奏部分との関連も深いです。

この歌の成立には、1937年に発生した日中戦争が背景にあります。戦争の勃発に伴い、『東京日日新聞』と『大阪毎日新聞』が連携して、「進軍の歌」の歌詞公募を行いました。その結果、籔内喜一郎の作品が選ばれましたが、この新しい軍歌の歌詞は北原白秋や菊池寛らによって「露営の歌」としてまとめられました。

曲の作曲は古関裕而が手掛けており、彼が関わることになるきっかけは非常にユニークです。彼は満州からの帰還途中、下関から東京に向かう特急列車の車内で目にした歌詞に感銘を受け、依頼されていないにもかかわらず自ら作曲を始めました。そして東京に到着した際に日本コロムビアのスタッフから正式に作曲依頼をされたときには、すでに楽譜が完成していたというのです。

「露営の歌」の文化的な影響は曲の発売後も続き、1973年には読売テレビ制作の買物ゲーム番組『買ッテ来ルゾト勇マシク』によって替え歌が使用されました。この番組のタイトルは、歌の冒頭部分に由来しています。

また、京都の嵐山には「露営の歌碑」が建立されており、その題字は陸軍大将松井石根によって書かれています。歌の普及とその影響を示す象徴とも言えるでしょう。歴史的な文脈の中で広まり、今もなお人々の記憶に残る「露営の歌」は、単なる楽曲以上の価値を持っています。

このように、「露営の歌」は時代背景や多くの文化的要素と絡み合っており、その作曲者や歌詞の背後にある物語と共に、今後も研究や議論の対象となることでしょう。この曲が持つ歴史的意義は非常に深いものがあります。

もう一度検索